第3話 深まる謎
今日は父さんも母さんも泊まりで帰ってこないんだよな…土日で学校も休みだし咲夜と遊ぼーかな、零と2人はちょっとな…
「零、僕今日ちょっと友達と遊ぶ約束してんだよね…だから留守番しといてくれると助かるんだけど…」
「友達?俺が1人で留守番ねえ…良いよ」
意外に自由!零には悪いけど2人で家に居てもする事無いし…
「夜ご飯までには帰ってくるよ!本当ごめん」
まあ今日は真尋が居ない方が動きやすいから良いだろう…確実な証拠が見つかるまでは真尋に知られる訳にはいかないもんな…
「分かった、気をつけて行ってきなよ、俺は適当に待ってるから」
「うん、有難う!」
何かやけに素直だよな…昨日は寂しくて傍に居させて欲しいとか言ってた割にはあっさり行ってきなよとか…
「咲夜!」
「よお!珍しいよな真尋から遊びの誘いとか何か気味悪いんだけど…」
「そう?いつも僕が誘う前に咲夜が誘ってくるだけだと思うよ…」
木戸咲夜は僕が6歳の時今の家に引き取られたその日に初めて話した男の子で隣の家に住んでいる幼馴染みだ、小、中一緒で高校も同じ所を受けようと2人で受験勉強も頑張り、遊ぶのも何をするのもいつも一緒だった。中学の時は女の子にも結構モテていて、告白されている現場を何度か見た事がある。モテる割には付き合ったことが無いのが謎である。僕の両親の死についても咲夜だけには覚えている事を話している。唯一気兼ねする事無く話せる存在が1人居るだけでモヤモヤとした心は自然と霧が晴れたようにスッキリとした。そんな咲夜にも幽霊が見える事は言っていない。信じて貰えないからと言う訳ではないのだけど、この事は言っちゃいけないんじゃないかと勝手に思っている。ましてや零の事なんて絶対に言えない。
「真尋…真尋!」
「あっ…ごめん!何?」
「お前大丈夫?何か今日ぼーっとしてない?」
「ごめん…ちょっと昨日あんまり眠れてなくて…本当悪い」
「今日は帰るか?家帰って少し寝れば?」
駄目だな…こんなぼーっとしてたら咲夜が心配するよな、普通にしなきゃ
「大丈夫!今日は咲夜と一緒に居たいし、まだ帰りたく無いよ…」
真尋ってたまにこう言う事言うんだよな…人の気も知らないで、期待しちまう…
「じゃあゲーセンでも行く?それとも体しんどかったら俺んちでゲームするか?眠くなったら寝れば良いし」
「うん!咲夜の家でゲームする!家に居たくないだけで外歩きたい訳でも無いし、咲夜と話してたら気持ち晴れそうな気もするし…」
「やっぱり何かあったのか?」
まさか好きな子出来たとかじゃ無いよな…
俺は初めて真尋に会った時から真尋の事が好きだ。6歳にして一目惚れをしてしまった。しかも相手は男だ、真尋は女の子より可愛い、その可愛さは成長するにつれ増していく。本人は気付いていないだろうけど周りの男子生徒にもかなり隠れファンが存在したほどだ。そんな真尋が無自覚で煽るような発言をする度に俺は期待してしまう。いつか理性を無くして真尋を傷つけたりしないだろうかと不安になる。
「真尋このゲームセットしといて、俺飲み物取ってくるから」
「うん、ありがとう」
咲夜に又心配かけちゃったな…いつも僕の話ばっかり聞いて貰ってる気がする…部屋に入ったら何かウトウトしてきた…咲夜来るまで少し目閉じてよかな…ベッドもあるし
「真尋…」
寝てるのか?俺のベッドで真尋が………
ごめん…………真尋……俺もう無理………
「う…うん」
「可愛い……真尋もっと口開けて……」
「咲……舌が……ん…」
「真尋…好きだ!真尋」
真尋寝てるのに反応してる…舌吸い付いて来る
可愛い……もっと触りたい!
「ん……う、ん咲夜………咲夜!!何で僕何してるの?何でキ、キス?!」
「ごめん!真尋…ごめん俺真尋に触りたくてずっと好きで…キスしたくて…」
僕咲夜とキスしてた…寝てたのに自然に受け入れて舌まで……咲夜はずっとこういう事を望んでたって事?僕はガキでそんな気持ちに全然気付かなくて自分の話ばかり聞いてもらって…
「咲夜…謝らないで、僕は咲夜の事好きだよ、でも咲夜が僕を思ってくれてる気持ちとは違って…咲夜は1番大切な親友だから!だから…」
「ぐすっ」
俺かっこ悪い、理性吹っ飛んで寝てる真尋に無理やりこんな事して…
「咲夜…僕の親友辞めないで!今日はもう帰るけど…又月曜から一緒に学校行こ!僕は咲夜の事親友のままだから、咲夜も僕の親友辞めないで…お願い…」
「分かった……今は顔見れねえからそのまま帰ってくんない?本当ごめん…またな………」
「うん、じゃあ帰るね…またね………」
暫く真尋帰ってこないよな…よし、始めよう
あの二人の寝室調べるか……ベッドにクローゼットと母親役の鏡台……クソっ何も出てこねえ
後は父親役の書斎か…ここが1番怪しいかもな
何これ……コイツらの部屋生活感ゼロかよ…
鏡台にも何も入って無かった、クローゼットも2、3枚服が掛かってるだけ…ベッドも使ってる形跡無し、書斎机も引き出しに何も入ってない本棚だけだな本がやけに多い…何読んでんだ
何んだ……これ、中身が白紙って……何も出てこない事よりこの家にはキッチンと真尋の部屋意外生活感が全く無いんだ…
「ただいま…」
あれっ!もう真尋帰ってきたのか!急いで戻らないと!
「零…ただいま」
「おかえり…早かったな、俺に会いたくなった?」
あ~この男何でこんなにノー天気なんだよ…
腹たってきた!
「会いたくなる訳無いだろ!眠いから帰ってきたんだよ!」
「怒るなよーごめんな真尋……」
あーやっちゃった…零にあたるとか最低だ…
「ごめん…ちょっと言いすぎた…」
「真尋…おいで…眠いんだろ?ベッドで横になれよ、顔色も悪いぞ」
急に優しくされると涙出そうになる…
「真尋?泣いてるのか?」
「ちょ…ちょっと何で急に抱きしめたりするんだよ!離して!」
「嫌だね…真尋泣いてるのにほっとけねえだろ、もう少しこのまま抱きしめさせて……」
「うん……」
「落ち着いたか?少し寝ろよ、俺が傍に居てやるから安心して寝ていいぞ」
「うん………………」
ん?立ったまま寝てる?可愛すぎだろ、仕方ないベッドに寝かせてやるか……本当に…こんな怪しい幽霊に抱きしめられて安心しすぎだろ
全く起きねえな…又抱き枕にするなって怒るなよ、今回はお前が甘えて来たんだからな…
やっぱり思った通り真尋の育ての親は危険な奴だった、書斎にはまだ何か見落としてる所があるような気がする、真尋が早く帰ってきたからそこまで確かめる事が出来なかったけど、あの部屋にはまだ何かある、真尋が学校行ってる間にもう一度あの部屋を探る、そしてあの二人を尾行、何をしてるか確かめる、あの二人に関しては謎しかねえな……
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