第28話 エイベルが城を制圧
その頃タゴニ城の玉座の間では、国王、ウォーレス、エイベル、ジョナス、兵士や騎士が集まっていた。
ウォーレス「エイベル!どういうことだ!?なぜ、コンラッドを殺した!?」
エイベル「メイに手を出したからです。無断で私の部屋に入り、メイを襲いました。私は…もう黙っているわけにはいきません!」
いつもとは違うエイベルの剣幕に、国王やウォーレス、ウォーレスの側近は狼狽える。
ウォーレス「たかが女一人のことで、俺の側近を殺すのか!?」
そう言いながら、ウォーレスは腰の剣に手をかける。
エイベル「兄上!剣を抜かないで下さい!剣を抜いた瞬間、私や私の支援者も剣を抜くことになります。」
ウォーレス「支援者だと?何を言っている…?」
エイベル「父上、兄上。私はお二人とは違う力をつけました。私が動けば、近隣の国は私を支援してくれます。」
国王「エイベル…お前は私やウォーレスに成り代わろうとしているのか!?」
エイベル「いいえ、違います。私の要求は三つ。一つ、女性にも男性と同じ権利を与えること。二つ、近隣諸国への武力行使をやめること。」
国王「武力行使をやめたら、この国はどうやって資源を手に入れるつもりだ!」
エイベル「近隣諸国をその他の国から守る代わりに、資源を安く輸入させてもらいます。既に話は通っています。」
ウォーレス「近隣諸国に頭を下げろと言うのか!?」
エイベル「違います!あくまで同盟、お互い対等な立場です。」
国王はしばらく目を閉じて考えると口を開く。
国王「………三つ目は?」
ウォーレス「父上!?」
エイベル「三つ目はメイ達への追っ手を、今すぐ撤収させること!」
国王「いいだろう。やってみろ。」
ウォーレス「父上!何を言っているのですか!エイベルに出来るわけがない!」
すると、ウォーレスを取り囲む様に、兵士、騎士達が動く。
ウォーレス「お前達……。」
エイベル「兄上……騎士、兵士の3分の2は、私に賛同してくれています。」
ウォーレス「な、なんだと!?」
エイベル「皆、女性への扱い……それに、この国の在り方に疑問を持っているんです。私は父上のことも、兄上のことも尊敬しています。私とは違い、武力、統率力に優れていると思っています。ただ…この国も変わっていかなければ存続できません。父上、そう思いませんか?」
国王「確かに、今のやり方のままでは、百年、二百年後はどうなっているか分からない。」
ウォーレス「父上……。」
エイベル「私は父上や兄上に、成り代わりたいのではありません。兄上の右腕となって、この国を変えていきたいのです。」
国王「エイベル。あくまで、次期国王にはウォーレスを望むのか?」
エイベル「はい。私には国王は無理です。父上、兄上、どうか変革を受け入れて下さい。」
国王「分かった。ウォーレスもいいな?」
ウォーレス「………………分かりました。」
エイベル「では、今すぐメイ達への追っ手の撤収の王命を出して下さい!」
国王「許可する。」
エイベル「ジョナス!今すぐ行ってくれ!」
ジョナス「分かりました。失礼致します。」
ジョナスは国王、ウォーレス、エイベルに頭を下げると走り出した。
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