異世界への入り口
私たちの高校も夏休みに入り、4人で廃学校に忍び込む日を決めた。
午後23時45分
廃学校に行くためにみんなで集合場所に集まった。
「よし、みんな集まったみたいだね。
今からあそこにある廃学校に行くけど準備はいいかい」
「いいぞ、廃学校まで少し山の中に入らなきゃいけないからみんな気を付けていくぞ」
彼方が言った通り、廃学校は山の中にあり少し行きづらい構造になっている。
昔の人はこんなとこに毎日いっていたのかと感心するほどだ。
4人で廃学校にたどり着いたときなんとなく背筋が凍るような不気味さを感じた。
「な、なんか不気味な感じしない…?。
今にも何かが出てきそうな気がするよ」
ガサッ….ガサッ!!
「な、なに!!や、やっぱり、な、何かいる?」
「護大丈夫だ。ただ風で草が揺れただけだ」
「こんなとこに出てくるとしてもちょっとした動物だけだと思うわよ」
護もそうだけどみんなこの異様な雰囲気に少し機敏になっているきがする。
「一旦中に入る手段を見つけないといけないかな」
「そうね...でもあそこ扉みたいなのなさそうじゃないかしら?」
廃校になってからずいぶんと時間がたっているからなのか昇降口みたいな場所はもうボロボロで扉が外れていて簡単に中に入れそうだ。
「確かに、あそこなら入れそうだな
昇降口?っぽいな。あそこから中に入って目的の1年3組を探すか。」
中に入ったときに廃学校だということを実感した。
中は所々壊れていてツタが壁を這っている。何もいないはずなのに視線を当てられているようなあの感覚が肌にまとわりついている。
不気味だ。
「ここは下駄箱っぽいね。中は完全に真っ暗になってるし、みんなスマホのライトを使って教室を探そう。」
私はスマホのライトで下駄箱を照らしながらみんなを先導する。
「さすがの廃学校だわ。雰囲気が学校とは思えないわね。」
「う、うん。僕はもう帰りたいくらい怖いよ
早く教室見つけて一旦休憩したい…」
「俺も部活で暗い学校には慣れてると思ってたが、さすがに違うな。」
3人ともこの廃学校の雰囲気には耐えがたいものがあると思う。
だけど私は正直この怖さを楽しんでる気がする。昔からオカルトは好きだし、初めての廃学校だから多少なりともワクワクしているのは事実だ。
「あった。ここが1年3組の教室だ。」
私が自分のスマホのライトで教室を照らしながら3人に話しかける。
「一旦入って本に書いてあった準備をしようか」
「確か四つ角にろうそくを置いて中心にも4つ置くんだったかしら」
「そうそう、ろうそくは持ってきてるからみんなに渡しておくよ」
皆がろうそくを手に持って1年3組に入った。
そこには他の教室と何ら変わらない荒れた教室が目の前に広がっている。
「やっぱり昔に廃校になっただけあってかなり荒れてるな。真ん中をあけるために机とか動かさなきゃな。」
「ぼ、僕は4つ角にろうそくを置いてくるよ」
護以外の3人で机をどかして真ん中にスペースを作った後すべてのろうそくに火をつけて集まった。
「とりあえずこの後しなきゃいけないのはこの本に書いてる通り、怪談だね。」
私は図書室で借りた本を広げてみんなに話しかける。
「怪談か、俺あんまそういうの得意じゃねーけど体験談とかでいいんかな」
「い、いいんじゃないかな。ぼ、僕も怪談とか得意じゃないけど一応怖い話はあるよ」
「私も怪談あるわよ!そういう動画たまに見るし!」
「みんな準備はばっちりみたいだね。私から順番に話していこうか」
「ある小学生の話なんだけどね…その子はいつも親から暴力を振るわれてて学校から帰るのがいつも憂鬱だったんだ….」
「つ、次は僕の番だね……」
私から順番に護、詩織、彼方が怪談を話し終えた。
「みんな話し終えたけどまだ変化は起こっていないね。」
「やっぱり七不思議は迷信だったのかしら」
「そ、そうだよね。ほんとに飛ばされたらどうしようかと思ってたよ」
何も起こらないので皆が少し安堵の表情を浮かべていた時だった....
ガタン....!
何かが倒れたような音と共に辺りが真っ暗になった。
「なんだ?!?皆大丈夫か!!」
「急に真っ暗になったわよ!!」
「ス、スマホのライトもつかないよ!!」
「みんな見て欲しい、ろうそくが消えている。」
スマホもライトもつかない。
ろうそくも消えている。
今考えられるのはたった1つだろう
七不思議が成功したということだ。
真っ暗な教室で互いの顔さえ見えない状況で息遣いだけが聞こえてくる
ガラガラガラ
扉を開けるような音がした...
「な、なに?!
い、今扉を開けるような音したよね?」
「ああ、確かに今のは扉を開ける音だったな
誰かいるのか?」
ズルズルズルズル.....
何かが這いずるような音が教室に響く
「何よこの音!
絶対に誰かいるわ!誰よ!返事しなさい!」
「詩織落ち着いて、私も何が起こってるかわからないけどもしかしたら成功してるのかも、異世界への行く方法が。」
「ほ、本当に成功しちゃ.....」
教室が無音になった。護の言葉も最後まで聞こえずさっきまで聞こえていた這いずるような音も聞こえない。
「彼方?詩織?護?」
私は暗闇の中みんなの名前を呼んだが応答がない。
急に目の前がうっすらと明るくなった。
電気も通っているはずのない学校でこの教室の電球は壊れかけのように点滅している。
「え....みんながいない」
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