寺から月まで!氷魔法少女の大暴走サーカス

うらら

第1話「氷の魔法使い、いるか参上!」

 ――あ、はじめまして!

 わたしの名前はいるか。

 氷の魔法使い……のはずなんだけど、みんなからは「滑って転ぶ人」って呼ばれてる。

 いや、確かに氷は出すけど、使いこなせるかは別問題なんだよ。


 例えば昨日。

 お風呂のお湯が熱くて、「氷で冷やそう!」と思って魔法を使ったら……。

 **どーん!!**って氷の塊が浴槽から飛び出して、窓ガラス直撃。

 修理代、三万円。

 あれは泣いた。


 そんな私に、今日、めっちゃ面倒な依頼がきた。

 「寺にある、変な札を剥がしてほしい」だって。

 変な札? おみくじじゃないよね? あれ剥がしたら怒られるやつだし。


「まあ、なんとかなるでしょ!」

 そう言って、魔法使いらしく愛用の氷冠の杖を持って――

「あ!? 間違えてマグロ持ってきちゃった!」

 いや、なんでマグロ!? 冷凍庫から杖を出すつもりで、魚を引っ張り出してきたらしい。

 これじゃ戦えない。

 いや、戦えるか……? マグロで。


 とりあえずマグロはリュックに突っ込み、家を出る。

 寺までは歩いて20分。途中で犬に吠えられた。

「や、やめて!? 氷バリア!」

 出たのは……氷の滑り台。

 犬がその上を滑って行って、なぜかめちゃくちゃ楽しそう。

「……まあ、平和的解決ってことで」


 寺の山門に着いたら、すごい雰囲気の札が目に入った。

 木の柱に貼られていて、文字が読めない。

 なんかこう……もわもわっと黒い気配が漂ってる。

 これ絶対、普通じゃないやつ。


「よーし、凍らせて……はい、バリッ!」

 札を氷漬けにして一気に剥がすと、中から光があふれ――


「……誰?」


 そこに立っていたのは、真っ赤な瞳を持つ少女だった。

 彼女の名は――躑躅。

 ここから、私と彼女のちょっとおかしな日々が始まる……らしい。

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寺から月まで!氷魔法少女の大暴走サーカス うらら @feqiwf40

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