第二十五話 道理

<お知らせ>

検定の勉強や、その他もろもろがあり中々書けず、申し訳ありません。正直、今月は書くのが難しそうなので来月頑張ります。





先程いった言葉に中年の男が顔を引き攣らせる。


「し、失礼だって・・・??」

「はい、許されてもいないのに、人の名前を呼び捨てで呼ぶことは貴族の礼を欠いているのでは?学生ならまだしも私達は文官なのですから、そこはしっかりしなければ」


スルズさんとロシュタインくんが目を見開いている。驚くのも無理はないわよね。今まで何を言われても基本的にスルーしてきたもの。なんでかというと、やっぱり邪魔にならないからね。職場のみんなの態度は冷たいけれど、最低限仕事の邪魔はしない感じだった。だから、別に自分から怒って、関係を悪化させるつもりはなかった。これから先も長く付き合っていくかもしれない人達なのだからね。でも、こいつは違う。なんというか、クズの匂いがする。失礼で、いやらしい目を人に向けたし、スルズさんに対しても見下した態度。女であるからと下に見ている。そんな人とは仲良くするつもりは毛頭ないわね。


「お、お、お前こそ、失礼だな!おれはお前の先輩なんだぞ!」


少しうろたえた男だったが、すぐに怒って顔を赤くしだした。逆ギレってやつね。でも、そもそもこの人は私の先輩ではない。私はうすく微笑みながら言う。


「あれ、おかしいですね。貴方は私の上司ではなく、ただの同じ建物ではたらく仲間です。上も下もありません。ほとんど他人の私を名前で呼ぶなら、私だって貴方のその振る舞いについて口出す権利があるはずです。違いますか?」

「うグッ・・・」


男が悔しそうにくちをパクパクする。かわいそうに、返す言葉が見つからないってことかしら。まあ、別に名前で呼ばれることは気にしていないんだけどね。今は平民だし。この男、完全に忘れているわね。男は顔をさらに真っ赤にして、声を大きくした。


「お前、俺は誰だと思っているんだ!?俺はルーベルト伯爵家の次男だぞ。俺に何かを言う資格なんてお前にはない」


ああ、一応身分の差は頭の中にはあったのね。たしかに普通なら、平民は貴族に逆らいことはできない。でも、ここは政治の場。身分をもちこむことは、建前とはいえ、許されてはいない。


「文官になったからには身分の差は関係ないのでは?そのように貴族の特権を振りかざし、実家に頼るのは見苦しいですよ」

「なっ、、、お前俺をバカにしているのか」


男が沸騰寸前の火山のような顔色をしている。そろそろね。


「バカにはしてはおりません。ただ貴方の振る舞いについて苦情を申し入れただけでございます。身分を振りかざして、自分の力で何もやろうとしないその態度に。では、仕事を行いますので、立ち去っていただけませんか?邪魔になってしまうので」


仕上げとばかりに完璧な笑顔で毒を吐いた。その言葉についに男は爆発する。


「ふ、ふ、ふ、ざけるな〜!!」


あれ、このまま攻撃してくるかなと思ったんだけれど、泣いちゃった?え、なんで?男は赤ちゃんのように床につっぷしながら、泣く。え、ちょっと待って。気持ち悪いわ。そもそも、あのくらいの言葉でどうして泣くのよ。甘ったれ過ぎじゃない?なんか、こう、反論しようとかないのかしら。というか、私はこの男が実力行使に移って、それを利用して、逮捕なり、訴えるなりするつもりだったのだけれど。これじゃあ、まるで私が悪いみたいじゃない。困ったのでスルズさんの方を見ると、顔を引き攣らせていた。ロシュタインくんのほうは目が会うと全力で目を逸らした。ちょっと怯えてない?これ?


「あの、貴方?そろそろ起き上がったらどうでしょうか?」

「ひっ!!!お前、お前なんかに・・・負けないからなぁ〜」


なんかおじさんにも怯えられちゃった。私なんにもしていないんだけれどね。怒りより恐怖が勝るって、想像以上に軟弱者ね。


「わかりました。立ち上がれないのなら手助けしましょうか?」


さすがに可哀想になってきた。こんな様を年下の女性、男性に見せている。さすがに尊厳が傷つきそうではあるわね。さっきもあんなに貴族、貴族言っていたから、プライドが高そうだし。それを聞いた男は急に立ち上がった。


「お前のことなんて、俺一人でどうだろうとできるからなあ〜!!」


そう言って走り去っていった。なに、この地獄の空気。





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