放課後カフェで、君と
りゅちー
第1話 転校生とコーヒー牛乳
四月の昼下がり。
放課後のカフェ「Cafe Soleil」は、学校帰りの生徒でにぎわっていた。
店の奥の席で、俺――神谷悠真(かみや ゆうま)は、テスト前の勉強をしていた。
……正直、集中なんてできてない。
目の前には、クラスに今週転校してきたばかりの椎名さくらが、コーヒー牛乳を飲みながら笑っている。
「ねぇ神谷くん、なんでそんなに真面目に勉強してるの?」
「……テスト近いから」
「ふーん。でも、私が話しかけたら、集中できないでしょ?」
「できる。……たぶん」
そう言いつつ、視線は自然と彼女の方に向かってしまう。
肩までの髪、笑うとちょっとだけ八重歯が見える。
……転校初日から、男子の視線を集めていたのも納得だ。
「ねぇ、神谷くん」
「ん?」
「私のこと、好き?」
コーヒー牛乳をストローでくるくる回しながら、まるで雑談のように言う。
心臓が一瞬で跳ね上がる。
「な、なんでそう思うんだよ」
「顔、真っ赤だよ?」
――やばい。この人、絶対わかっててやってる。
からかわれてるのに、全然嫌じゃない自分がまたやばい。
そのとき、店員さんが近づいてきた。
「お待たせしました、こちら特製チョコパフェです」
俺の前に置かれるパフェ。
「え、頼んでないけど……」
「私が頼んだの。神谷くんと半分こしよ」
……この日から、俺の放課後は少しずつ騒がしく、そして甘くなっていった。
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