ある軍人は魑魅魍魎が跋扈する世界に転生した。
ゆっくり朔
第1話「転生。」
「主砲第一、第二、を九〇度へ。砲撃よーい....発射!」
そう、伝えると外からドゴンと轟音が炸裂する。九一式徹甲弾が空中へと飛ぶ。敵の航空機には一つの砲弾しか当たらない。数秒後、東側から水柱がたつ。
「艦長。右舷に敵魚雷がぶつかり中破。これから左舷に注水を開始すとのこであります。」
「了解した。各自、持ち場に戻れ!!」
成功することのない作戦…か。そう誰にも聞こえないような小声で呟いた時だった...後方から爆発音が響いた。
「艦長!!艦橋裏手に敵航空機による爆撃で発火!!」
「すぐ消火に向かえ!!手の空いている者は水上偵察機を発艦させ攻撃兼偵察をせよ。」
着々と近づいてきている。もう少し持ってくれよ。大和よ...
「偵察機から打伝。〝我敵空母発見シタリ第二次攻撃隊発艦準備中〟とのことです。」
「…了解した。皆これが最後の抵抗だ!我が帝国の一億総玉砕の先駆けとなる。第二波に向けて準備せよ!!」
これで最期。
「…艦全体に報告!敵機影を探知!数はおおよそ数百機。これより攻撃準備よーい。」
そうして第二波攻撃が始まるのだった。
〇〇〇
俺はそこで目を覚ました。起き上がり、辺りを見渡すと木や草花が至る所に茂っていた。見上げると、木々のすき間から日差しが照っていた。
…眩しい。
そう思いながら俺は、地に手を付き立ち上がる。白い軍服についた草などを払い落とし、目的もなく歩き始めた。暫く歩いていたら、一つの人影を見つけた。それに近づき俺は声を掛ける。
「そこで何をしている。」
その人影は私の方へ振り返り、うつむきながら近づく。特に警戒せずに居ると腹部に痛みが響く。腹に刺さっている、得体の知れない物を引き抜き、刺してきた人影に投げる。その人影は、少しもがいた後に塵になって消えた。
「…ちょっとやばいかもな。」
そう呟き、血溜まりになっている地面に座り込んだ。目が少し見えにくくなってきた。そんな時に一つの声が聞こえた。
「大丈夫か?あんた。…いや、見るからに大丈夫じゃなさそうだな。」
声の主が近づいてくる。俺は、ぎりぎり保っていた意識をそこで手放したのだった。
◯◯◯
「…此処は?」
目が覚めた一声はそんな、腑抜けた言葉だった。暫くして近くの襖が開かれると白髪の少女が、湯気がたつ桶を持って立っていた。
「…起きたのか?お前さん。」
そう言う彼女はポカンとした表情で俺の事をまじまじと見ていた。
「あの、そんな見られると困るが。」
「あ!そうだな、そうだよな。すまない。」
少し、しょんぼりした顔で彼女は謝ってくる。そんな彼女に俺は一つ聞きたかったことを聞く。
「ところで君の名前は何だ?」
俺がそう聞くと彼女は私の目を見て話し始めた。
「私の名前は
そう言われ、布団の枕元に置かれた帽子を手に取り、膝に置く。
「私は神崎乖離だ。よろしく頼む、柊殿。」
ぎこちない笑顔で俺は柊に自己紹介をしたのだった。
〇〇〇
私は、山に山菜を採りに山道を歩いていたのだが。鉄くさい匂いが漂ってきて現場の近くまで着いたら、木の幹に血まみれの状態で倒れ込んでいる人を見つけ、側まで近づくと塵になっている妖怪とそれを倒したが重傷を負っている男の人を見つけ声を掛けるが、返事が返って来なかった。なので私は、その男の人を持ち上げると懐から手帳らしき物が落ちて、それを拾うと表紙には〝大日本帝国海軍〟と書かれていた。取り敢えず手帳をしまい、男性を家に運ぶのだった。
「…たたいま。」
そう言葉を出すと、家の中からドタドタと音が近づき私の数歩手前で声をかけられた。
「お帰り。楓姉。」
「うん、たたいま。」
「....て、楓姉その人誰?てか血まみれじゃん。救急箱持ってくる!」
「わかった。後で私の部屋に来て。」
「了解〜」
そう、妹は救急箱を取りに走るのだった。
暫くして、私は自室で男の人の服を脱がして妹が持ってきた救急箱で処置をした後に包帯を巻き、血の付いた服を妹に渡し洗濯を頼んだ後に私は、食事と身体拭きのお湯とタオルを取りに部屋を出るのだった。
暫くして私は、お湯の入った桶と濡れタオルを持って部屋に入ると敷かれた布団から起き上がっている男の人がいた。
「…起きたのか?お前さん…」
そう言うと少し困った表情になっているがコクンと頷いてくれた。でも、私は男の人の顔をまじまじと見ていると…
「あの、そんな見られると困るのだが。」
「あ!そうだな、そうだよな。すまない。」
そう話した後に自己紹介をした。
彼は神崎乖離と言うそうだ。彼の目を見ていると表面上は大丈夫そうに振る舞っているが目の奥には何処かドス黒い何かが渦巻いているのだった。
ある軍人は魑魅魍魎が跋扈する世界に転生した。 ゆっくり朔 @yukuri_saku
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