ファンタジー作品において、主人公のスキルが周囲と比べて地味、もしくは劣っている設定はとてもよく見ます。そのような作品の多くは、劣悪なスキルをいかに巧みに扱って、主人公が下剋上を成し遂げていくかが見所となります。
しかし本作は、一見何の役にも立ちそうにない主人公のスキルが、そのまま物語のテーマを示す装置として機能します。そのおかげで、本編なんと千文字超の簡潔さでありながら、ものすごく高い哲学性を有しています。外伝においても、別角度からの「生の在り方」が示されています。
普段あまりファンタジーを読まない人でも、否、そういう人にこそ読んで欲しい作品に感じます。