侵入者

 マジか、マジかよ。侵入者⁉︎


 まだ人間を相手取る覚悟なんてないし、準備もまだまだなんだが⁉︎


 幸い、罠は暇な時に設置していたからそこそこある。引っかかってくれる事を祈ろう。


 それと、どうにか侵入者を確認できないだろうか。

「演算機さん!」


『可能です』


「さすが!!」


『マスターの種族、ダンジョン・コアはダンジョン内の出来事の全てを感知可能です。それを視覚情報として認識することによって、侵入者の監視を出来ます』


「俺ってそんなこと出来たのか」


 確かに今までもダンジョン内の事は何となく分かってはいたが。


『マスターは今まで感覚的に感知したいので、はっきりと認識することによってより正確に情報を得ることができます』


 なるほど。


「よし、よく分からんから演算機さんがやってくれ。映像を頼む」


『了解しました』


 すると目の前にモニターが現れ、侵入者達の姿が映し出された。



 —————————


《侵入者視点》


 2人の男がダンジョンがある洞窟前で言い争いをしていた。


「…なぁ、やっぱりお頭に報告に行った方がいいって。後からバレたらヤバいぞ」


 男の1人がそう言うと。

「何言ってんだ。お前もさっき見ただろ?ゴブリン達がこの中に入って行った。と言う事はだ、ここはダンジョンの可能性があるって事だ」


「ゴブリンだけじゃダンジョンかどうかなんて分からないだろ。野生のゴブリンで、あいつらの巣って可能性だってある」


「それの確認のためにオロフやつに斥候に行かせたんじゃないねェか」


(ったく、こいつの心配性ににも困ったもんだな)


 すると洞窟内から1人男が出て来た。オロフだ。

「お!戻って来たか。どうだった?」


「当たりだ。やっぱりこの洞窟はダンジョンだな。いくつか罠もあったしな」


「おっし!よし、中に入るぞ」


「それこそ、お頭に報告した方がいいだろ!もしバレたら殺されちまう!」


「チッ、うるせェな。言い訳は考えてある。さっさと行くぞ」


 短気な男は洞窟内に入って行った。


「おうよ。…ライ、そんな心配すんなって。中を見た時、ゴブリンやらが数匹いた程度だった。頭への言い訳は俺も考えてる」


「…はぁ、分かったよ。お前らのバカに付き合わされるのはこれが初めてじゃないからな」


 ダンジョン内をしばらく進んでも宝箱は見つからなかった。


「全く何も見つからねェ。本当にダンジョンなのか?オロフ」


「俺を疑ってるのか?アッシュ。さっきも罠があったろ。ただの洞窟にある訳のないものが」


「そうなんだけどよォ」


(チッ、て事はここは出来立てのダンジョンなのか?無駄足だったか。)


「…そう言えば昔、酒場で聞いた噂なんだが。ダンジョンを攻略してダンジョン・コアに触れるとそのダンジョンを支配できるらしいぞ」


「何だその話?ライ、お前は来たことあるか?」


「いや、俺もない。ただの噂じゃないのかオロフ」


「だとは思うが、せっかく出来立てのダンジョンなら攻略は簡単だろ」


(もし、ダンジョンを支配できたらこの中の全てが俺のものなのか。今までの盗賊業なんかよりよっぽどいいし、力も富も手に入る)

オロフの話を聞いたアッシュの頭は欲望で埋め尽くされていた。


「よし、このまま攻略するぞ」


「いやいや、その話をお頭に言って、お頭にダンジョン攻略してもらった方がいいんじゃないか」

 ライがアッシュに注意を促すと


「バカか、ただでさえ今の俺たちより強いんだ。ダンジョン攻略なんかしてダンジョンを支配したら、俺たちなんて用済みだ。それこそ殺されちまうぞ」


「それはまずいな。俺もまだ死にたくはない」


「だろ?だから俺たちで攻略するんだよ。こんなゴブリンしか居ないようなダンジョン簡単だからな」


(よし、これでダンジョンを攻略してやる。後ろで呑気に話している奴らも俺がダンジョンを支配したら捨ててやろう。せめて痛みのないようにな)


 すると大広間にたどり着いた。


「随分と広い空間だな。ボス部屋か?」


「多分な。何でボスがいないのかはわからんが」 


「大方、ダンジョン出来立てだからボスが準備出来てないだろ」


 そうして広間の中央あたりに来たころ。肩に何かが触れた気がした。


「ん?何だ」


 肩にはスライムがたれさがっていた。

 気になり上を見上げると。


「なっ、何だ⁉︎何であんなにスライムが引っ付いてるんだ」


「げ、マジだ何であんなにいるんだ」

 

 今度は、ライが肩を叩いて来た。

「何だ、ライ。」


 振り返ると、そこには顔をスライムで覆われたライの姿があった。


「!?」


「おい!ライ大丈夫か!!」


 苦しんでるライにオロフが駆けつけると。そこに次々とスライムが落ちて来た。


「ぅわ⁉︎…アッ…シ…たす…息」


 オロフはもがきながら必死に顔に付いたスライムを剥がそうとしていた。


「な、何でスライムがこんな」


 確かにスライムは弱く初心者冒険者にはうってつけの相手だ。しかし顔に付くと呼吸ができなくなるため注意が必要。だがスライムが自ら顔を狙う知性もないため、事故以外では基本的にない事だった。


「くっ、流石にまずいか」


 2人を切り捨て、アッシュがすぐに出口を目指し走り出そうとした瞬間。広間の入り口から、ゴブリン、スケルトン、スライムなどが現れ、次々とアッシュに襲いかかった。


「クソが!!何でこんなに魔物が居んだよ!!!」


 アッシュは剣を取りそう叫んだ。


 …アッシュの奮闘も虚しく圧倒的な物量に、アッシュは押し潰された。

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