兵器よ異世界へ(仮)

@S-91

第0話「変化」

兵器…それは文明の象徴。


一昔前、歩兵が前線を作り、装甲車両がそれを支え、


航空機が戦場を支援する。これが形であった。


一兵卒に火力は無い。車両に柔軟性は無い。航空機に細部は見えない。


全てが噛み合って、初めて戦場をコントロールする。


しかし、その前提もある時期から覆された。変化した。


「アーマー」「装甲」「歩兵用重機動装甲」そう呼称された兵器が始まりだった。


歩兵に装備する兵器は従来小型であり、軽量で、制圧力も無く


全地形に対応しきる柔軟性は持ち合わせていなかった。


しかし、その外骨格のフレームは優れていた。


ただ体に這わせて装備させる骨格。それを機動し電子装備を動かす力を賄う電池。


多少の無茶でも耐える剛性。規格が違う兵器でも装備できる連結穴。


こんな兵器が現れた。人々は恐怖した。だが、次第に上の人間達は気付いた。


「戦場の根底を覆される」


急速にこの外骨格兵器は普及していった。それもその筈だ。


従来の歩兵を凌駕する火力。装甲車両を超える機動力。


航空機を圧倒する制圧力。


この兵器に夢を見てしまった。魅せられてしまった。魘された。


一騎当千の時代。先祖返りだった。


一人の勇猛で歴戦の兵士が戦場を支配する。英雄の時代が幕を開けた。


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