竜の落とし子―太陽さんがくれたぬくもり― 概要集

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全17話構成。

交界記本編25話から登場するミルフィーユの生まれてから、本編に登場するまでのスピンオフ作品。

ミルフィーユの一人称視点から見る交界記の世界を見せていくストーリー。


各話概要

🟢第1話「竜の子、生まれる」

灼けつく荒野の下、竜の娘・ミルフィーユは太陽だけを友に生まれ落ちた。

言葉も知らず、虫を食べ、孤独に震える日々。

やがて人間に拾われ、初めて「優しさ」と「名」を知る――それが、運命の歯車の始まりだった。


🟣第2話「ミルフィーユ、命名」

鉄の檻で運ばれた竜の娘は、人間の女ディアンヌに買われ、「ミルフィーユ」と名を与えられる。

初めて知る言葉と食卓、そして家――それは優しさの形をした檻だった。

飛べない翼と幼い手では何も掴めず、少女の世界は静かに冷えていく。


🟥第3話「ミルフィーユ、売られる」

飛ぶ練習を続けるミルフィーユは、虫を食べた姿を見られ、ついに家から追い出される。

風邪をひいた彼女を、ディアンヌは容赦なく奴隷商へ売り払った。

牢で出会った狼の亜人ボウルとの交流が、少女に“優しさ”と“夢”を教えていく――。


🟢第4話「ミルフィーユ、風呂に入る」

奴隷商で売られたミルフィーユは、学者ロベルトと妻レベッカに買われる。

優しく抱かれ、初めて“お風呂”という温もりに包まれた。

再び与えられた居場所――それは、穏やかでいて不穏な、新たな始まりだった。


🩵第5話「ミルフィーユ、雪を見る」

ロベルト家で穏やかな日々を過ごす中、ミルフィーユは初めて“雪”という美しい世界を知る。

ボウルとレベッカと笑い合うその瞬間、彼女の心に“家族”という温もりが芽生えた。

だが同時に、ロベルトの研究目的――“赤竜の亜人”としての宿命が、静かに動き始めていた。


🧡第6話「ミルフィーユ、研究される」

ロベルトは学者として、幼いミルフィーユの角や羽を観察し、研究に没頭していく。

家族のような日常の裏で、彼の興奮は“赤竜の弱点”という危険な発想へと傾き始めた。

それでも少女はただ、優しく頭を撫でるロベルトを信じ――「いい子、いい子」と微笑んでいた。


💠第7話「ミルフィーユ、学校へ行く」

ロベルトは研究発表のため、ミルフィーユを“生きた赤竜の亜人”として学会に連れて行く。

初めて見る大きな世界、初めて浴びる人々の視線に、少女は胸を高鳴らせた。

火を吐く実験の成功と共に、歓声の裏で――彼女の存在は「研究対象」から逃れられぬ現実を帯び始める。


❤️‍🔥第8話「ミルフィーユ、旅立つ」

ロベルトの研究は歪められ、“赤竜の亜人”ミルフィーユを実験体にしようという圧力がかかる。

苦悩の末、彼は少女とボウルを逃がす決断を下し、奴隷の首輪を外した。

涙の別れの夜――ミルフィーユは毛布と小さな赤いリュックを背負い、旅立った。


🔥第9話「ミルフィーユ、サバイバる」

ボウルと共に夜の街を抜けたミルフィーユは、初めての自由と自然に胸を躍らせる。

川で魚を捕まえ、火を灯し、仲間のために生きる術を覚えていく。

彼女の中に芽生えたのは――“竜の子”ではなく、“生きる者”としての確かな誇りだった。


🩸第10話「ミルフィーユ、襲われる」

旅の夜、森で野営していたミルフィーユとボウルは、野生の狼たちに襲われる。

命がけの戦いの中、少女は“火”を操り、初めて自分の意志で恐怖を越えた。

夜明け、涙の跡を残したまま笑う彼女に――新しい世界への道が、確かに開き始めていた。


💎第11話「ミルフィーユ、都会に着く」

王都エルンへ辿り着いたミルフィーユは、初めて見る人と街の活気に心を弾ませる。

しかし、脱走した“赤竜の子供”として自分の存在が新聞に報じられていることを知り、不穏な影が忍び寄る。

太った猫の商人ミッケとの奇妙な出会いを経て――彼女たちは新天地ジールド・ルーンへと旅立つ決意を固めた。


🌊第12話「ミルフィーユ、船に乗る」

港で亜人と疑われたボウルを救ったのは、再び現れた太っちょ猫商人・ミッケの機転だった。

こうして無事に船出を果たしたミルフィーユは、初めて見る海と空に心を躍らせる。

船上で出会った“戦士”シノと、神の司祭シリア――新たな縁が、彼女の運命をまたひとつ動かし始めた。


✨第13話「ミルフィーユ、満喫する」

船上のレストランで再会したシリアに、ミルフィーユは無邪気に懐き、ボウルは思わず赤面する。

“聖騎士の国ジールド・ルーン”――差別のない国への期待が、旅の疲れを優しく包み込んだ。

新しい仲間シノと笑い合いながら、少女は希望の光へと導かれる船の上で、確かな絆を感じ始めていた。


🤍第14話「ミルフィーユ、着く」

ついに“聖騎士の国ジールド・ルーン”へと降り立ったミルフィーユは、眩しい白の街並みに心を奪われる。

人間と亜人の違いに思い悩みながらも、優しき騎士たちの応対に小さな希望を見いだした。

そして――木の温もりに包まれたその夜、彼女はまだ知らない。これがボウルと過ごす最後の安らぎの夜になることを。


💔第15話「ミルフィーユ、逃げる」

平和の国ジールド・ルーンにも潜む“亜人狩り”の影――ミルフィーユとボウルは突如襲撃を受ける。

逃走の末、ボウルは彼女を庇い、命を賭して戦う決意を固めた。

「どうか人間を恨むな」――最後に残したその祈りは、夜の森に消え、少女の胸に永遠の灯となって刻まれる。


💫第16話「ミルフィーユ、捕まる」

ボウルの亡骸を抱きしめて泣くミルフィーユは、再び人間に捕らえられ、檻の中で絶望に沈む。

拷問の末に爆発した怒りと魔力が街を吹き飛ばし、彼女の“竜の力”がついに覚醒する。

そこへ現れたのは宮廷魔術師・綾菜――彼女の温かな抱擁が、少女の心に再び“生きたい”を灯した。


🌞第17話「ミルフィーユ、成長して行く」

綾菜たちと出会い、新しい家族のもとで目覚めたミルフィーユは、初めて“抱きしめられて眠る”温もりを知る。

ボウルの死を受け入れ、仲間たちと共に手を合わせたその日、少女は涙の中で“笑って見送る”強さを覚えた。

そして今――宮廷魔術師の娘として学び、笑い、祈りながら、空の太陽に眠るボウルへ「おはよう」と微笑みかける日々が始まった。

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