第4話 恵子の場合④

  

  三人の男は、ひそひそと顔を寄せて相談している。


 恵子はわりと世間知らずの…オボコなところがあって、事態の推移の意味に気が付かずにぼうっとしてしまっていることがある。 今も、手に取った雑誌の記事が面白いので読みふけっていて、少し日が傾くまで休憩する予定だったので、三人の男の密談?の意味も自分に無関係なことかと信じ切り、三人から見ると自分が「きょとんとしている迷子のお人形さん」さながらに無邪気に見えているのにも、… …


 「きゃああああ!!」


 少し酔っぱらった、屈強な三人組が、意を決して襲い掛かってきたときに、恵子は初めて、「ひそひそ話」が、自分という獲物バンビちゃんを狙っているハイエナの鼻息さながらの薄汚いような鼎談だったことに気づいた…


 手荒に、ベッドに連れ込まれてから、恵子はマスターもグルであり、あの三人とつるんでいつも美貌の登山客を強姦している…つまり彼らが常習犯で、自分が自分からクモの張った糸の罠にっ飛び込んでいった美蝶さながらの、おあつらえ向きの生贄に過ぎなかったことに気づいたのだった。


 「いやっつ!!いやっつ!!!」


 愛らしい柄の、お嬢様ぽい衣装をつぎつぎと剥がれて、絶息しそうな荒い吐息をつきつつ、「弱きもの、汝の名はオンナ」とかいう古い格言が、恵子の頭をかすめ…その時急にレイプされることの快感に目覚めさせられ…意識は混濁して、犯されている憐れな犠牲者という、一個の「物体」になってしまうのだった。


<続く>


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

掌編小説・『山』 夢美瑠瑠 @joeyasushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ