壊されたくない特別な夏

神宮 蓮見(かのみや はすみ)

壊されたくない特別な夏

君の声 風に紛れて 遠ざかる

壊れぬように 胸に抱きしめ


夕影に 君の笑みだけ 残りけり

壊したくない あの日の温度


指先に 触れたぬくもり 消えぬよう

壊れぬように 時を止めたし


花火果つ 君の瞳に 揺れる夢

壊されたくない 恋の灯火よ


君去りて 蝉の声さえ 痛みたり

壊れぬように 記憶を縫いぬ


水面には ふたりの影が 寄り添いて

壊したくない 夏の幻


君の名を 呼べば涙が こぼれけり

壊れぬように 胸にしまいて


浴衣揺れ 君の笑顔が まぶしすぎ

壊したくない 恋のひととき


君の手を 離すまいとて 願えども

壊れぬように 風が引き裂く


夏果てて 君の気配も 薄れゆく

壊されたくない 恋の残り香

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壊されたくない特別な夏 神宮 蓮見(かのみや はすみ) @tannpennshousetu

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