第25章 「絆が繋ぐ瞬間」

大事な県大会の準決勝。

 スタジアムは歓声と緊張感で満ちていた。

 俺たちは、勝利への意志を一つにしてピッチに立つ。


 試合は序盤から激しく、相手の圧力に押される場面も多かった。

 前半20分、俺がボールを奪い取った瞬間、右足に激しい痛みが走った。

 義足の付け根が熱く焼けるようだった。


 「大丈夫か?」

 声をかけてくれたのは、同じチームの守備の要、田中だった。

 彼は俺の苦しみを理解し、すぐにフォローに回ってくれた。


 痛みを堪えながらも、俺は諦めずにパスを回し続けた。

 そして後半残り10分、疲れ切った俺に最後のチャンスが訪れた。


 「お前ならできる」

 仲間の声が背中を押す。


 俺はボールを受け取り、狙いを定めてシュート。

 その一撃は、ゴールネットを揺らした。


 スタジアムは歓喜に包まれ、俺たちは抱き合った。

 痛みも苦しみも、みんなと共有したからこそ乗り越えられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る