第14章 「はじめての責任」

大会が近づくにつれて、練習の強度も増していった。

 俺の身体は以前よりも確実に強くなっているのを感じていた。

 ただ、それと同時に、チームからの期待も重くのしかかってきた。


 ある日の練習後、監督から呼ばれた。

 「お前に重要なポジションを任せる」

 俺の胸は高鳴った。

 だが同時に、逃げ出したい気持ちもあった。


 「お前ならできると信じている」

 坂口さんも、力強く背中を押してくれた。

 「ありがとう……やってみます」

 言葉に力を込めて答えた。


 試合当日。

 スタジアムの歓声が耳を包む。

 俺はチームのために全力を尽くすと心に誓った。


 ボールを持つと、目の前がはっきりと見えた。

 これまでの苦労、仲間たちの支え、そして自分の決意。

 すべてがこの一瞬に凝縮された。


 パスをつなぎ、守り抜き、そして──

 俺は仲間のためにシュートを放った。

 その瞬間、歓声は爆発し、チームメイトが駆け寄ってきた。


 「やったな!」

 その言葉に、俺は確かな達成感と責任感を感じていた。

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