心の中に秘めた想い。ざわつく気持ちを押し込め、この「恋」を終わらせたい
- ★★★ Excellent!!!
この感じはとても切ない。
『LOVE』と『LIKE』。そのすれ違いによる葛藤。友情なのか、恋なのか。そのジレンマに心を揺れ動かされる様が鮮明に伝わってきました。
主人公の亜矢は高校の卒業式が終わった後、幼馴染である香織から恋愛相談を受ける。幼稚園の頃から一緒だった圭太に告白しようと思っているという。
もちろん、祝福する。表向きははっきりと、彼女の背中を押してやる。
三人一緒だった幼馴染。その二人がカップルになるのが決まり、「良かった」と思おうとはする。
だけど心はついてきてくれない。亜矢は香織に対して恋心を抱いていたから。
それでも、そんなことはおくびにも出さないまま、「親友」としての顔を続ける。
香織が亜矢に向けてくる「好き」は、亜矢か香織に向ける「好き」とは別のもの。その事実をずっと表に出すことはできずに終わる。
彼女はあえて外に向け、「波風」を立てることはしなかった。だからこそ、しまい込んだ感情が暴れ出し、心の内側で激しい「波」が生まれることになる。
その気持ちを忘れることはできない。なかったことにできない。そんな彼女が必死に「区切り」をつけようとする姿に、とても胸を揺さぶられます。