第24話  異星の人達とわたし ④

カルチャーショック


という言葉があります。

わたしは、それを目の当たりにすることになる。



最初の話し合いを終え、わたしはナナナ姫様達を第2居住区にご案内している。


すっかり、お腹が空き過ぎて白目剥いて、口からエクトプラズマ出して、歩くのも覚束ないヒメカに「アレは何じゃ?」「コレは何と申すものじゃ?」などと積極的に聞くナナナ姫様。

姫様…ヒメカのライフ…既にマイナスですから、少し大人しくしてあげて…

ヒメカも、第2部居住区で食料供給システムの話するからそれまで待ってね…



こうして第2部居住区画に着く。


第1居住区画、ティルナノグには及ばないけど小さな公園スペースとなんというか…ビジネスホテルが一緒になっている様な感じ。

毎度ながら、イルダーナの中にこんなものがあるのが驚き出し、こんなもの作ったコンセプトもよくわからないわ。


「何と船の中にこの様なものが…」

素直にミミアさんが驚いているわ。


「おおっ!ヒメカよっ!探険するのじゃ!参るぞっ!」

やっぱり、こうなったわね。


「これ、先にエリィシア殿の話を聞きなさい」


ミミアさんがナナナ姫をとめる。

さすが、飼い方をよくご存知で。


「あっ、エリィシアさん〜」


気の抜けるようなナギサ先生の声。

「皆さんにお部屋を割り振って色々と使い方の説明が終わりましたよ〜」


ありがとう。ナギサ先生。

さすがに先生。こういうのは、任せて大丈夫みたい。


「ありがとう。先生。では、姫様。皆さん、ご案内します。先生、お願いします」


「はい〜、任せてください!」


一度他のミュリッタの皆さんをご案内した先生に再度案内をお願いする。勿論、わたしとヒメカも一緒。麗玲さんは「ここからは必要ないだろう」って部屋に戻っちゃった。

ドクターはドクターで「先程の少女の様子を見に行くよ」と医務室へ。

アリスは相変わらずミニサイズでわたしの耳元に。


まぁ、同じ設備を使ってるから説明はできるかな?



先ず、ナナナ姫様達をお部屋にご案内。


至って普通の、ワンルーム。

ビジネスホテルの部屋を広くした感じかな?ビジネスに泊まったことないから分からないけど…

ベッドに、机。簡易なクローゼット。あ、一応この部屋にも冷蔵庫と、温め機能だけの電子レンジがあるのね。


「「「ちょっと、よろしくて?」」」


出たっ!

姦し三姉妹!!


「ワタクシ達は兎も角!ナナナ姫様とミミア様が同じサイズの部屋でしたら納得できませんわ!!!」

「そうです!この様な狭苦しいお部屋にナナナ姫様とミミア様を押し込めるなどっ!!」

「そうですわ!少なくとも部屋もベッドもこの3倍の広さがなくてはなりませんわっ!!」


イチャモンつけるの、そこ?

まぁ、王族とか身分の高い貴族とかから見れば狭苦しい部屋かもしれないけど…


「よい!わらわはこじんまりとした部屋で過ごしてみたかったのじゃ!この大きさ、気に入ったぞ!」

「この部屋の大きさでも、生活に不便はありません。我々は厄介になる身。無理を言ってはなりません」


二様の正論にぐぬぬ顔の姦し三姉妹。


「しかし、この狭さではお世話がっ!」


「いらぬ!服くらい自分で着れるのじゃ!」


しばらくの間、あれやこれや、あ~じゃない、こ〜は駄目だ!みたいなやり取りが続く。


「「「……分かりましてございます。せめて!我々も近くのお部屋にしてくださいましっ!!!」」」


ついに三姉妹が折れた。

まぁ、その要望くらいは飲めるかな。


「この箱は何じゃ?」


知らないものに囲まれウズウズしていたナナナ姫様が早速冷蔵庫を指差す。


「これは冷蔵庫と言います。この箱の中に入れておけば食べ物や飲み物を冷やして保存する事ができますよ」


わたしは冷蔵庫の扉を開けてナナナ姫様に手を入れてみることをすすめる。


「おおっ!ひんやりしてるのじゃ!面白いのじゃ!こっちは何じゃ?」


冷蔵庫の上の電子レンジを指差すナナナ姫様。

窓から中を伺ってるわね。


「これは電子レンジと言います。冷めた食べ物を温める事ができますよ。でも、使い方を間違えると食べ物が爆発したり、溶けたり、火事の原因になるから気を付けてくださいね」


ふむふむ。と興味津々で聞く姫様。


あっそうだ!


「丁度、わたしがおやつ用に持っていたパンがあるので実際に使ってみせますね?」


わたしは、ポケットの中に入れておいたすっかり冷めて固くなったパンを一度、ナナナ姫様に触ってもらう。


その後、レンジに入れてパンの温めを使い方を説明しながら実践してみる。


スイッチを入れると…


「おおっ!」

とか

「「「光ったっ!!何と面妖なっ!!!」」」

とか

「ほう、どういった魔法ですか?」

など、全員違ったリアクション。

まぁ、原理の説明をしたところで分からないと思うので、『そういう物』と認識してもらった。

あと、。とかはしてはいけない事も話したわ。


ち~ん!

音に驚くミュリッタの人達。

ま、そうよね。


「ほら、温まりましたよ?触ってみてください」


わたしは程よく温まって柔らかくなったパンをナナナ姫様に触ってもらう。


「おおっ!本当に温かくなったのじゃ!面白いのじゃ!これならいつでも温かいパンがたべられるのじゃ!」


温まったパンに喜ぶナナナ姫様。



その時、超高速な何がパンを掠め取った。


また、緑…え~っとルルルかっ!?




と思ったら、違う…


わたしの横でパンをがっつくピンクの影…


ひ、ヒメカ…


目にも止まらぬ速さで動いてたわよあなた…

そう、生命の危機に貧すれば動きを速くできるのね…



気を取り直して、水回り、つまりおトイレとユニットバスの説明をするためにユニットバスのドアを開ける。


あら、かなり広いわね。

ちょっと予想以上でびっくり。


「「「んまっ!厠と浴室が一緒にっ!!不潔ですわ!」」」


いやいや、きれいよ?キチンと使えば。


「いえいえ。ここはキチンと使えば、とても清潔です。先ず厠…おトイレから」


わたしは、地球人なら誰しもが知っているトイレの使い方を説明。


とりあえず

「なんですの?この水は?」

とか、言ってたわね。

あ~、ミュリッタはまだ噂に聞いたポッチャン式なのね…


気を取り直して

「用を足し終わった後に、このボタンを押せば勝手にお掃除してくれますよ」


あら?


三姉妹のリアクションがないわ。


そんなはずありませんわ!

みたいなリアクションしそうなのに…


「んまっ!何をおバカな事を…」

「そうですわ、勝手にお掃除などと…」

「厠のお掃除は下の者の仕事ですわ」


あ、言ってる事理解出来ない奴ね。


じゃあ、しょうがない…

わたしは、「流す」ボタンを押す。


水が流れる。

その様子に、腰を抜かす三姉妹…


おいおい…


「水が!水が流れましたわ!」

「どの様な魔法ですの!」

「ああっ!また水が張られましたわっ!」


見てて面白いなぁ、この人達。

勿論、姫様も同じ様に「おおっ!」とか言ってるけど、こっちは純粋で可愛いわ。


ちょっと、わたしは、イタズラを思いつく。


「え~っと、三姉妹の方どなたでもいいので、一応用を足すようにしてもらってもいいですか?女しかいないですし」


ゴネりつつも、目をキラキラさせたナナナ姫が「ラララ、やるのじゃ!」と言い、しぶしぶ、赤の侍女ラララにおパンツをおろして用を足す仕草をしてもらう。


「用、主に大っきい方を終えた後に、この魔法のボタンを押すと…」


わたしは、ボタンを押す。

すると…


「ひょわぁぁぁぁぁ!み、水がっ!温かい水が!!ワタクシのお尻にっ!!!」


わたしは、笑いを堪えながらもう一度押して止める。


「あ、濡れたところは紙で拭いてね。と、こうしてお尻を水で洗浄できますよ。ただ、あまり長い時間を使うとお尻に良くないそうなので数秒程度にしてください」


今日一番の驚き顔。

後、全員女性なので、月イチののときなどに使えるビデ機能も教えておく。

あと、基本的な注意事項ね。



ナナナ姫様は「すごいのじゃ!面白いのじゃ!」と大喜び。

カルチャーショックに完全に白くなってる三姉妹。

興味深そうにしているミミアさん。


「次はお風呂ですね。こちらです」

お風呂はおトイレと続いているけど、透明なスライド式の戸で完全に分ける事が出来るわ。

自動でお風呂を入れてくれるわね。

白いバスタブに、湯船にお湯を張るための蛇口とシャワーがあるわね。後、お風呂とおトイレの間に洗面台。


「このボタンを押すと、自動でお風呂を入れてくれます」


わたしの説明に目をキラキラさせるナナナ姫様。

まだ、文化レベルの差を受け入れ認識出来ない三姉妹。


当然、三姉妹は「何言っるてんだコイツ」みたいな目をしている。


「はい、じゃあ、リリリさん。これをこっちにこう捻ってください」


わたしの言う事に恐る恐る従う青の侍女リリリ。


「はうわっ!み、水?いえ、湯気?お湯ですの?」

蛇口から出て来るお湯にビックリ。

「じゃあ、こちらを押してみて」

恐る恐る、ボタンをポチりと押す、リリリ。


〜お湯張りを開始します〜


自動音声に驚き、飛び上がって驚く、リリリ。


「こうすれば自動でお湯を張ってくれますよ」


流石に、花びらは出てきませんが…と付け加えるわたし。


信じられない…という顔の三姉妹。


「何と、地球の科学というものは湯まで自動で用意を…驚きました」


ミミアさんもさすがに、驚き。

ミュリッタでのお風呂の用意や管理の様子を教えてくれる。

うん、大変ね。

大昔の人はこんな風にお風呂の用意をしていたのね。


「これがシャワーです。温かいお湯で髪や体を洗えますよ。シャンプーやボディソープも付属されていますのでこちらを押してもらえれば適量が出てきます。足らない場合はもう一度押せば再度出てきますよ」


わたしはシャワーを出して、シャンプー、ボディソープをそれぞれ取り出して泡立ててから流す。というのを繰り返してみせる。


「もしっ!背中洗いのお役目の者はっ!」

「アカスリのお役目はっっ!!」

「湯揉みのお役目はっっっ!!!」


いないわよ、そんなの…

そっか、そういう文化だものね。

全て付属のアイテムで簡単に自分で出来ることを伝える。


全ての価値観が崩壊したかのように、白くなって口からエクトプラズマを垂れ流している三姉妹。


一方、ナナナ姫様は全てを、自分1人で出きる事に大喜び。


さて、ここまではお部屋の機能の話し、次は共用部や共同で使うものの説明に行くのだけど、どんな面白いリアクションをしてくれるのかしら?

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