第6話 相談事

 二〇二四年七月一七日 一二時一〇分


 四時限目が終わり、ミアは隣のクラスの佐々木彩菜がいるクラスに向かった。

 「アヤナー!どうしたの?相談したいことって」

 ミアはそこの抜けの明るさを前面に出しながら友人の名前を教室の入り口から叫んだ。昨日夜、『相談したいことがある。』と連絡がきたがどんな内容かはメッセージアプリでは話せないとのことだ。

 アヤナとの関係は中学時代の夏、都内でおしゃれな図書館があることを知ったので早速配信のネタとして行った時に出会った。まだまだ配信者としての活動が軌道にのっていなかった時だった気がする。年齢の割に大人びていたので可愛いというより美人な部類に入る佐々木彩菜はその透明感のある見た目と芯の強さからクラスの男子からも人気があった。

 テスト期間だったこともあり、アヤナと会うのはなんだかんだ三ヶ月ぶりだ、最もミアはテスト勉強などはせず怪物騒ぎの調査に没頭としており(ようするに現実逃避)テストは散々なものだったがまだ点数が悪いとは決まったわけではない。

 アヤナの姿は三ヶ月前と比べてひどくやつれた姿をしていた。アヤナは自分の弱さを表に出すような女の子ではない。メッセージのやり取りでは悩みがあるような感じではなかったがどうやら相当追い詰められているようだ。

 「気持ち久しぶりだね、とういうかどうしたの?いつもより元気というか覇気がないじゃん。」

 「久しぶり、うん……アプリでも話したけど、場所変えない?」

 そう言って二人は教室をでた。

 二人は教室から少し離れた、旧校舎にある理科室に向かった。あまり人がよりつかないので、秘密の話がある場合大抵みんな旧校舎に移動する。もし誰かいたとしても積極的に関わろうとはせず距離をとってくれる。

 「さて、どうしたのか、話を聞こうじゃないか。」

 ミア達は理科室に入ると窓側の日の光が入る席に座った。六人掛けの広い席の端に向かい合う形になった。

 アヤナは口元を手で押さえて眉をひそめる、どこから話そうか悩んでいる顔だ、ミアは黙って次の言葉も待つ。

 もともと悩みなどは自分の中に抱え込んでしまう性格だ、そして自分一人の力で独力で解決してきたのだ。それを他者に相談するということはよっぽどの理由があるのだろう。

 一五分ほど経ちミアがスマートフォンでSNSを見ていた頃、アヤナが口を開いた。

 「ミアの家に泊めてほしいんだ。」

 「うん、いいよ。」

 「それだけ?」

 まとっている空気がどんよりとしていて話しづらそうだ。

 「今まで泊まったり泊まりに行ったりしてたじゃん。今更お願いするとかおかしくない?」

 「ありがとう。」 

 それからミアは二人で他愛もない話をした、少しずつアヤナの表情に赤みがさし、教室に来た時は真っ青だっだが徐々に昔の笑顔にもどっていく。その頃には休憩時間のチャイムが鳴りせっかくアヤナが話し始めたのに終わりを告げた。


 「久しぶりに話したらあっというまだったね、本題はまだなんでしょ?続きはうちで話そうか。」

 「そうだね。ごめん、せっかく呼び出したのに」

 「全然。気にしてないよ。あっ学校終わったらそのままうちにおいでよ、足りないものは全部貸してあげるから」

 久しぶりに会って泊まらせて欲しいと言っているのだ、おそらく宿泊に関する道具は準備できていないだろうと考えた。

 「ありがとう、ミア。」

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