第2話 ※
水の跳ねる音がする。
「んっ、ふ、ふぅっ、…んん」
ライルの指がジャンヌの蜜口を押し開いてもう3本目だ。慣らすようなことはしなくてもいいとジャンヌは言ったが、『男のモノがつかいものになるには興奮材料が必要』と言われてしまえば、こういう行為に全く経験のない彼女は従う他ない。
…ただ致され声を堪えているだけのジャンヌの姿に、興奮要素があるのかは疑問だが。
初めは違和感しかなかった隘路の中も、滑りが良くなり、快感を生み出すある一点が見つかると、途端に柔らかくうごめきだした。
まるで体が、助かるためにこの行為が必要と知っているかのようだ。
腹筋が勝手に痙攣し、声を抑えるのがいよいよ辛くなってきたとき、おもむろに指が引き抜かれた。
「んぅっ、…は、はぁ、ハァ…」
「…そのまま、深く息をしていてください、力を抜いて」
「ハァ、分か、ぁ、───!」
分かったと頷く前に、指とは全く違う物体がジャンヌの中に侵入してきた。
広がったはずの膣壁がみちみちと音をたている気がする。引き攣れるような痛みに息が止まりそうになるが、「息を深く」と言われたのを思い出して、大袈裟に吸った。
息を吐き出すのに合わせるようにして、ライルがさらに中へ押し進む。
そしてぐっと腰を押さえつけられたのを最後に、進行が止まった。
どくどくと、全身が脈打つのを感じながら、息を整える。
痛みがだんだんと麻痺してきた。
知らず閉じていた目を開ける。
ジャンヌを見下ろすライルと、目が合った。
「───……」
「──平気ですか?」
問われたとも分からず、ただ魅入る。
魔力が高ぶっているのか、ライルの赤い双眸は内から灯るように煌めいていた。
それが月光を取り込むより、何倍もあたたかく揺らめいていて、とても───
「…きれいだ」
「───は…?」
ジャンヌの唇からぽろりとこぼれた言葉を、拾う相手は一人しかいないし、向けられたのもただ一人だ。
しかしそのライルは、知らない言語でも使われたような、全く分からないという顔をしている。
「あ、いやその、」
ポカンとされたことで我に返る。
こんな行為の最中にはあまりにも場違いな単語だったようだ、なにが相応しいなんてジャンヌは知らないけれども。
「改めて見ると、闇夜に浮かぶ貴殿の瞳は、あたたかい色だと」
「………………貴女は…」
なんとか言葉の意図だけでも伝えた方がいいかとしどろもどろになっているジャンヌの上から、溜息が降ってきた。
ライルが前髪をくしゃりとして顔を手で覆うので、瞳が隠れる。
「な、なんだ、思ったんだからしょうがないだろう」
「…───少し、気が変わりました」
「え?っあ!」
その手が取り去られた後の目は、もういつもの胡乱げなライルに戻っていたが。
灯る紅にギラつきが増したような気がした。
腰が動き、中のモノが少し引かれた。
「ここからは好きに動こうかと思っていたんですが」
「んっぅ!」
そして押しつけられる。
その経路はついさっき指で快感を引き出されたところを撫でていった。
「優しくしてあげましょう」
ライルの動きは的確で、ジャンヌに未体験の感覚を与え、また引き、押しつけ、波の満ち干きのように繰り返す。
「ふ、っ!、ぁ、ハ、んん、〜!」
決して激しくはないのに痛みと快感をぐちゃぐちゃに掻き回すそれに、声を抑えるだけで精一杯だったジャンヌは、やがて意識を手放した。
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