学園内の謎めいた事件や不可解な揉め事を風紀委員の一、二年コンビが捜査・推理して解決に導くお話です。が、そのコンビの一年の方である主人公の四方山くんは正義を振るうことの危うさについて自覚的であり、いつも葛藤しながら各事件に向き合うことになります。
第一章は頭脳ゲーム的な要素もあり、モダンで洒脱な印象を受けます。(私自身最近ミステリから遠ざかっていたこともあり、数年ぶりに買ったファッション誌で流行の移り変わりを目にした時のような感慨がありました)
二章以降はより各キャラのバックボーンや学校特有の人間関係のゴタゴタに切り込んで行くのですが、風紀委員コンビの二年の方の片裏先輩が非常に力強く(そして段取りよく)物語を進め、また必要なパーツを落としていってくれるのですいすいと読み進めることができました。
用意された謎も、もちろんそれぞれ魅力的です。
また、なぜ高校生である彼らが謎を解くべく東奔西走しているのかのエクスキューズが上手く与えられているので、それもストレスなく読み進めることができる一因なのだと思います。
学園内の規則的な縛りや閉塞感を効果的に使っています。
全体の構成もですが、なにより書き慣れている人特有の筆運びの流麗さ。適度に遊び心がありつつも砕けすぎず、読者を弛緩させない地の文は一級品です。
稀にいるそういう作家はきっとどんなジャンルでも書けるのでしょうが、だからこそ今回ミステリを書いてくださったことに感謝しなくてはいけません。
ありがとうございます! とても面白いミステリでした!