第20話 莉奈vs美咲 キャットファイト永遠に続く花嫁の控え室の悪夢


# 永遠に続く花嫁の控え室の悪夢


白い壁に豪華な金色の装飾が施された結婚式場の控え室。窓からは春の陽光が差し込み、純白のテーブルクロスが輝いていた。そこに二人の美しい女性が立っていた。


松浦莉奈—28歳、赤いシルクのイブニングドレスを纏った細身の女性。長い黒髪を高い位置で結び、大きなアメジストのイヤリングが耳元で揺れていた。彼女は新婦の幼馴染で、今日の晴れ舞台を見守るために来ていた。


中島美咲—同じく28歳。深い青色のフィット&フレアドレスを着た彼女は、莉奈よりも少し背が高く、グラマラスな体形だった。彼女の栗色の髪は緩やかなカールがかかり、肩の上に優雅に広がっていた。美咲は新郎の大学時代からの親友として招待されていた。


「なんて素敵な式なのかしら」と莉奈が呟いた。


「本当にね」美咲が応じる。「でもあなたみたいな美しい人がここにいるのは何かの間違いじゃない?」


莉奈の眉が上がった。「どういう意味?」


美咲は笑顔のまま続けた。「だって、新婦さんはすごく地味で目立たないタイプなのに。あなたみたいな美人が隣にいたら霞んじゃうわ」


莉奈の顔から表情が消えた。「それは私があなたみたいに意地悪な人間だって言いたいのかしら?」


「意地悪? 私が?」美咲は大げさに驚いて見せた。「私は正直なだけよ」


莉奈の拳が固く握られる。彼女は一歩踏み出した。「私のことを侮辱する気なら受けて立つけど?」


美咲は冷たく笑った。「望むところよ」


その瞬間から、二人の美しい女性による壮絶な取っ組み合いが始まった。まず莉奈が美咲の肩を掴もうとするが、美咲はすばやく身をかわし、逆に莉奈のドレスの襟元を掴んだ。


「離して!」莉奈が叫ぶ。


「嫌だね」美咲は力いっぱい引っ張った。赤いドレスのレース生地が軋み音を立てた。


莉奈は反撃に出る。彼女は美咲の長いドレスの裾をつかむと、「これでも喰らいなさい!」と叫んで引っ張り上げた。美咲の青いドレスの裾が大きく捲れ上がり、彼女の白い太腿まで露わになった。


「何するのよ!」美咲の顔が真っ赤になる。彼女は莉奈の髪を掴み返した。「この泥棒猫!」


二人は激しく揉み合いながら控え室の中を動き回る。テーブルが倒れ、椅子が蹴飛ばされ、華麗な花瓶が床に落ちて砕け散った。莉奈は美咲の頬を平手打ちし、美咲は莉奈のお腹に膝蹴りを入れた。二人ともドレスが破れ、乱れ、それでも止める気配はない。


「こんなにきれいなお顔を叩かれる気分はどう?」莉奈は唇から流れる血を拭いながら挑発する。


「あなたこそ、その自慢の顔が台無しね」美咲は鼻血を拭いながら応戦した。


取っ組み合いはエスカレートしていく。二人は互いの髪を引っ張り、爪で引っ掻き合い、時には首を締めようともした。しかし窒息禁止のルールがあるので、そこまでは至らない。代わりに首筋や耳を噛み付く攻撃に切り替える。


控え室の中は二人の汗と涙と血で汚れていった。それでも誰も止めようとしない。誰も部屋に入ってこないのだ。


ドレスの袖が引き裂かれ、背中の編み上げリボンが解けてしまう。それでも二人は止められない。むしろ肌の露出が増えたことでより激しい取っ組み合いになっていく。


莉奈が美咲の腕を掴んで床に押し倒した。「覚悟しなさい!」彼女は馬乗りになってパンチの雨を降らせる。


しかし美咲は決して屈しない。彼女は莉奈の腰に脚を絡めてひっくり返し、今度は自分が上になる。「私が勝つまでやめないわよ!」


二人は永遠に続くかのような喧嘩を続けていた。時間はすでに数時間が過ぎているはずだが、彼女たちにとって関係なかった。


新郎新婦はもちろんのこと、家族や友人、そしてスタッフたちさえもこの事態を把握していない様子だ。誰も止める人がいない。ただ二人の美女による壮絶な肉弾戦が続いていく。


夕暮れ時になり、控え室には西日が差し込んできた。二人の身体は痣だらけになり、ドレスもほとんど原型を留めていなかった。それでもまだ終わらない。莉奈と美咲の間には不思議な友情すら芽生え始めていた。お互いの強さと粘り強さを認め合いながらも、決して和解しようとはしない。


そして二人は再び立ち上がり、最後の一戦を交えるために睨み合った。これが終われば何か変わるのかもしれない。でも今はまだわからない。ただ一つ確かなことは、この壮絶な女同士の闘いが続いているということだけだった。

# 永遠に続く花嫁の控え室の悪夢(続き)


莉奈と美咲の間に流れる緊張感は最高潮に達していた。控え室の床には散らばった化粧品の容器や砕けた食器の破片が散乱し、二人の周りには血痕と涙の跡が残っている。


「終わりにしましょう」と莉奈が息を切らせながら言った。その声には疲労よりも奇妙な解放感があった。


「賛成」美咲は答え、不思議と穏やかな微笑みを浮かべた。


二人は最後の一撃を繰り出すためにゆっくりと近づいていく。莉奈の目に映るのは美咲の必死な表情だけで、美咲もまた莉奈の瞳に宿る決意を見つめていた。


「行くわよ」


「いつでも」


二人の身体が重なり合う。これまでで最も激しい衝突が起きた。莉奈の拳が美咲の腹部に入り、美咲の蹴りが莉奈の脇腹を捉える。互いに痛みに顔をゆがめながらも、二人は離れようとしなかった。


そして……


突然、控え室のドアが開いた。そこには誰もいないはずだったのに。


「お二人さん、お待たせしました」若い男性の声が響いた。


二人は反射的に振り向く。そこには黒いタキシード姿の青年が立っていた。彼の目は鋭く、けれどどこか悲しげだった。


「……誰?」莉奈と美咲が同時に尋ねた。


青年は微笑んだ。「僕はこの結婚式の進行役です。でも今日は特別な役割を仰せつかってきました」


彼はゆっくりと部屋に入ってきた。莉奈と美咲は自然と距離を取り、彼を見つめた。


「君たちの取っ組み合いを見ていました」青年は静かに言った。「美しい闘いでした」


莉奈が警戒しながら問いかける。「見ていただけですか? どうして止めようとしなかったんですか?」


青年は肩をすくめた。「止める必要がないと思ったからです。君たちの闘いは完璧でした。どちらが勝つわけでもなく、どちらかが傷つくわけでもなく」


美咲が困惑した表情で尋ねる。「どういうことですか?」


青年はゆっくりと答えた。「実はこの結婚式自体が存在しません。君たちはある試験のためにここに呼ばれたのです」


「試験?」莉奈と美咲が同時に問い返す。


「そう。極限状態における女性の忍耐力と協調性を測るための試験です」青年は冷静に説明を続けた。「君たちは見事に合格しました。どちらも相手を殺さず、大怪我もさせず、ルールを遵守し続けた」


控え室の雰囲気が変わり始めた。部屋全体が白い光に包まれていき、二人は徐々に現実世界へと引き戻されていった。


気づくと、莉奈は自分の家のソファで寝ていた。時計を見ると朝の7時。夢だったのか?


しかし彼女の手を見ると、そこにはまだ取っ組み合いの傷跡が残っていた。


そして……


携帯電話が鳴った。画面には「中島美咲」の名前が表示されている。


「もしもし?」莉奈がおそるおそる電話に出る。


「おはよう」と聞き覚えのある声。「昨夜の取っ組み合い、楽しかったね」


莉奈は一瞬混乱した後、笑い出した。「ええ、本当に楽しかった。またやりましょうか?」


「もちろん」美咲も楽しそうに答えた。

こうして二人の壮絶な喧嘩は終わりを迎えた。でもそれは同時に新たな友情の始まりでもあった。あの日の出来事は夢ではなかったし、これからも二人の絆は続いていくだろう。ただし次に会うときはきっともっと穏やかな方法でコミュニケーションを取ることに違いない。


# 燃え上がる再会の火花


あれから一年が経ち、莉奈と美咲の間には奇妙な友情が芽生えていた。あの壮絶な取っ組み合いの後、二人は意外にも定期的に連絡を取り合うようになっていた。最初はどちらが強いかといった話題ばかりだったが、次第に趣味や仕事の話なども交わすようになり、最終的には一緒に買い物に行ったり食事をしたりするようになっていた。


「ねえ莉奈、この写真見てみて」ある週末、カフェで美咲がスマホを差し出した。


画面には見知らぬ男性の写真が表示されていた。細身で整った顔立ちの男性だ。


「新しいプロジェクトで一緒になったの。木村悠人っていうの」美咲は少し照れたように笑った。「すごく優秀だし、話しやすいし……ちょっと気になるかも」


莉奈は興味深そうに写真を見つめた。確かに魅力的な男性だ。


「へえ、素敵ね」莉奈は軽く言ってコーヒーを一口飲んだ。


その言葉に美咲は満足げな笑みを浮かべた。「そうでしょ? 今度食事に誘ってみようと思ってるの」


会話は他愛ないものに移り変わったが、莉奈の心の奥底には小さな波紋が広がっていた。美咲が気になっているという男性―なぜか無性に興味が湧いてきたのだ。


一週間後、莉奈が参加した業界セミナーで思いもよらないことが起こった。壇上で講演している男性が視線に入ったとき、彼女は驚愕した。


(木村悠人……!)彼がまさにあの写真の男性だったのだ。


セミナー終了後、莉奈は勇気を出して彼に近づいていった。そして予想通り、木村悠人は誠実で知的で話しやすい人物だった。


「松浦さんですね。中島さんからよく話を聞いていますよ」木村悠人は微笑んだ。


莉奈の胸が高鳴った。美咲が自分について話してくれていると思うと嬉しさと同時に複雑な感情も湧き上がってくる。


その後数回の偶然の出会いを経て、莉奈と木村悠人の関係は急速に深まっていった。食事に行くようになったり、休日に会う約束をしたりするようになった。


しかし問題はここからだった。美咲も同じタイミングで木村悠人に積極的にアプローチし始めていたのだ。三人の関係は次第に微妙なものになっていった。


ある夜、木村悠人は決断した。


「実は、どちらかを選ばなくてはいけないと感じています」彼は二人を呼び出して告げた。「どちらを選ぶか、もう少し時間をください」


その言葉を聞いた瞬間、莉奈と美咲の間に火花が散った。


それから数日後、莉奈と美咲は以前と同じような高級結婚式場にいた。ただし今回は新婦の控え室ではなく、貸し切りの宴会場。そこで木村悠人の誕生日パーティーが開かれる予定だった。


「あら、莉奈。早いわね」美咲が到着するなり、冷たい口調で挨拶してきた。


莉奈は無表情で応えた。「ええ。主役を一番最初にお祝いしたいと思ってね」


宴会場の空気が張り詰めていくのが感じられた。周囲の人々は異変を感じ取ったものの、何が起きているのか理解できない様子だった。


そして運命の瞬間が訪れた。木村悠人が到着したのだ。


「お二人とも、ありがとうございます」彼が微笑みかけた。


次の瞬間、莉奈と美咲の表情が一変した。どちらが先に行動を起こすかを探り合うように睨み合った後、突如として激しい取っ組み合いが始まった。


「私のほうが悠人さんのことをよく知ってます!」莉奈が叫びながら美咲の腕を掴む。


「私のほうが彼の理想の女性なのよ!」美咲が負けずに応戦する。


周りの人々は唖然として見つめていた。かつて一度経験したとはいえ、今回も止めに入る者は誰もいなかった。それはまるで何か神秘的な力が働いているかのように。


二人の美女による壮絶な取っ組み合いが繰り広げられる中、木村悠人は呆然と立ち尽くしていた。しかし不思議と恐怖よりも好奇心が勝っていた。


「こんなに情熱的に求められるなんて……」彼は小さく呟いた。


その瞬間、莉奈と美咲の攻防が一層激しくなった。莉奈が美咲のドレスの裾を引っ張り上げると、美咲は即座に莉奈の髪を掴み返した。二人の顔は真っ赤になり、額から流れる汗がきらりと光っている。


「悠人さんが選ぶのは私よ!」莉奈が叫ぶ。


「いいえ、私!」美咲が反論する。


宴会場の装飾が次々と崩れ落ちていく中、木村悠人は驚きとともに一種の感動を覚えていた。この二人が自分のためにここまで争ってくれることに感謝すら感じ始めていた。


取っ組み合いが激しさを増していくにつれ、莉奈と美咲の表情にも変化が現れ始めた。互いへの憎しみだけでなく、相手の強さへの尊敬や羨望の念も浮かんできていた。


そして……


「もういいよ!」突然木村悠人が叫んだ。「僕は二人とも好きなんだ!」


その言葉に莉奈と美咲の動きが止まった。


「そんなのあり得ない!」莉奈が怒りを露わにする。


「そうよ! どっちか選びなさいよ!」美咲も続く。


木村悠人は深呼吸をしてから真剣な表情で言った。「僕には君たち二人が必要なんだ。どちらかを選ぶなんてできない。だから……」


彼は二人に近づき、両手を差し伸べた。「三人で付き合ってほしい」


一瞬の沈黙の後、莉奈と美咲は互いを見つめ合った。そして同時に小さく頷いた。


「条件があるわ」莉奈が言う。「今後も私たち二人が満足できるような取っ組み合いができるかどうか試させてもらうわ」


# 怒涛の肉体競演


宴会場の中心で二人の美女が向かい合う。莉奈は黒いシックなドレスに身を包み、美咲は鮮やかなエメラルドグリーンのロングドレスを纏っていた。それぞれの装いが彼女たちの性格を表しているかのようだ。


「準備はいい?」莉奈の声は低く落ち着いていた。


「いつでも」美咲は余裕の笑みを浮かべた。


開始の合図もなしに二人は同時に動いた。莉奈が右のパンチを繰り出すと同時に、美咲は左の肘打ちを放つ。二人の動きは完全に対称的で、まるで鏡に映したようだった。


衝撃音と共に二人の体勢が崩れる。しかしすぐに持ち直し、再び激しく組み合い始めた。


莉奈はドレスの背中の編み上げリボンを狙って引き抜こうとする

美咲も瞬時に察知し、逆に莉奈の頭を抱えて締め付けようとする


二人の髪が乱れながら激しく舞い踊る。莉奈が美咲の長いドレスの裾を踏みつけ、バランスを崩させようとするが、美咲は即座に体重を移動させて回避。反撃に転じて莉奈の耳たぶに噛みつく。


「痛っ!」莉奈が顔を歪めるが、すぐに美咲の髪を掴んで引っ張り返す。


取っ組み合いはさらに激しさを増していく。二人は互いの胴体を締め付け合いながらもんどりうって倒れる。床に転がりながらも攻防は続き、莉奈が美咲の脚を掴んで開こうとすると、美咲は莉奈の肩を押し返しながら上に乗りかかる。


パーティーの参加者たちは啞然として見つめている。驚き、不安、そして一部の女性客からは感嘆の声も上がる。木村悠人は真剣な眼差しで二人の闘いを見守っていた。

莉奈は「この前みたいには行かないわよ!」と叫び


宴会場の中央で二人の美女が激しく絡み合う。莉奈の黒いシックなドレスが乱れ、背中の編み上げリボンが半分ほどほどけかけていた。対する美咲のエメラルドグリーンのドレスも裾が大きく捲れ上がり、脚が剥き出しになっている。


莉奈が美咲の首筋を狙って噛みつきかけるが、美咲は素早く頭を振って避け、反対に莉奈の胸元のホックを掴んで力任せに引き下げる。白い肌が露わになり、莉奈の顔が恥辱と怒りで真っ赤に染まる。


「やめて!そんな所……」


「あなたが悪いのよ!」美咲が叫ぶ。


二人は互いの髪を掴み合い、引っ張り合いながら床を転げ回る。ドレスの裾が絡み合い、二人の体が密着する。


莉奈が美咲の腰に脚を巻きつけ、巴投げの要領で投げ飛ばそうとする。美咲は抵抗し、逆に莉奈の腕を取り関節技を決めにかかる。二人の指が白くなるほどの力で押し合っている。


「どうして私じゃなくて……」美咲の声が震える。


「あなたの方が……」莉奈も同様に震える声で言い返す。


二人の間に生まれる感情は単なる敵意だけではない。嫉妬と羨望、そしてどこか敬意が混じっていた。



動画はこちらhttps://x.com/nabuhero


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る