無垢なはずの心に潜む暴力
- ★★★ Excellent!!!
遅ればせながら、書きます。
心の中の渇きを癒すこともできず、爆発させるしかなかった主人公。そんな風に思ってしまいました。
子どもは、無邪気で純粋なんて、誰が言ったのでしょうか。小さな子どもの小さな体にも、言葉にならない憤りやドロドロした感情、誰かを傷つけたいという願いのようなものがあるのでは、と自分は思います。
願いと言ってしまったけど、それは幼さ故に語彙力を持たないためかもしれません。言葉を知らないから、手を出すしかなくなるし、蓄積した感情や誰かへの欲求が、心の奥底に潜む願いのような要求に変質してしまう現象があるのではないかと思います。
自分は、とても身に覚えのある現象でした。
3話目は、一見突拍子もない暴力行為に思えます。ですが自分はちょっと思い返してみると、小さい頃、それこそ小学校4年生の頃、悔しさで枕を濡らした日にこんな夢を見たことがあります。
私のためだけの友達と、あの話しの通じないクラスメイトをボッコボコにする夢です。
このお話が夢の中での出来事なのか、それとも現実の世界線を行くのかは、明記されていなかったように思います。
なのでどこまで本気で、作者様は、この幼い主人公に暴力性とちょっと奇怪なエロスを託しているのかと、気になるところです。
しかし、ちゃんきみ先生は、読者の想像を、こんな私のような的外れな感想でも、否定される方ではないと勝手に解釈しております。
この疑問は、永遠に藪の中かもしれません。
このお話は、自分の心がザラっとしてくる、手と足が反対に付けられた人形のようなお話でした。
こんな小学生の頃、あの友達をボッコボコにできなかった自分を、再現されているようでした。
ちゃんきみ先生、すみません!
こんな頓珍漢なレビューですが、確かに、心の琴線に触れるものがありましたので書いてしまいました。
こんな「渇き」を、永遠に潤わないものを、どんどん小説に昇華してください。楽しみにしております。