怪談を語らされる怪談

　令和□年9月3日　××新聞 朝刊（地方版）

〈大見出し〉

　空き家で高校生死亡　脱水症状か

〈小見出し〉

　市内で行方不明になっていた少年　中学校3年の男子生徒と確認

　水の摂取拒んでいた可能性

　1日午後4時ごろ、◯◯市郊外にある空き家の一室で、10代の少年とみられる遺体が発見された。警察が身元を確認したところ、市内の中学校3年男子生徒（15）であることが判明。少年は2週間ほど前から行方が分からなくなっており、家族が捜索願を出していた。

　発見場所は、市内の住宅地から離れた雑木林の奥にある空き家で、建物は10年以上前から放置されていたという。遺体の周囲には食料や飲料水などの形跡が見当たらず、検視の結果、死因は極度の脱水による多臓器不全と見られている。

　遺体に目立った外傷はなく、争った形跡や第三者の介在を示す痕跡も確認されていない。

　関係者によると、以前から水に対する恐怖を訴えていたといい、日常的な水分摂取も困難な状態が続いていたとのこと。

　また、発見現場周辺の住民によると、最近この地区の子どもたちのあいだで「池にまつわる同じ話」が広がっていたという。

　「遠足で行った池で夜に……という内容で、みんな同じように話すんです。不気味ですよね」

　警察は関連の有無については明らかにしていない。