建物(台所)編⑦ アンサー
Kitchenという由来は、ラテン語のco-quina(火を使うところ)らしいです。火を制するものが料理を制するということですね。
私たちが想像するキッチンは「ビルトインキッチン(built-in kitchen)」と言う、コンロなどの機器が組み込まれて一体となっているものです(和製英語だとシステムキッチン)。
ではその前のキッチンとはどういうものだったのか?
ここで「コンロ」を英語検索すると、以下の言葉が出てきます。
「Stove」
(料理用の)コンロ、レンジ(「英辞郎on the web」より)
マントルピースの回(詳しくはこちらhttps://kakuyomu.jp/works/16818792438190188555/episodes/16818792438639336745)で書いたように、昔は暖房とコンロが同じだったことがわかります。
そもそもコンロとレンジは何語なんじゃ、ということで調べてみました。
「
日本語。しいていうなら漢語。
本来は七輪のような、携帯式小型炉のこと。気づいたら設備型ガスコンロも「コンロ」って呼ばれていた。
「レンジ (range)」
アメリカ英語で竈やくどのこと。現在だとオーブンとコンロが一体化したもの(range cooker)を指す。
しかしWikipediaではrangeと言わずkitchen stoveと言う。なんやねん「幅」って。
なんやねん「幅」って(二回目)。
それにしてもコンロって日本語だったんですね。しかも本来は持ち運べるものを指していたとは。
台所は変化が大きいため、本来とは違う意味になっているのかもしれません。これはちょっと難しいぞ。
というわけで今度は「オーブン」「かまど」で検索。
「オーブン(Oven)」
閉ざされた空間で熱した空気、または赤外線を利用して加熱を行う調理器具。日本語だと「窯」「天火」とも言う。
中世ヨーロッパ時代、オーブンは修道院や教会などが所有していました。オーブンを使用する時は、バターやはちみつ、卵などを納めなければならなかったようです。
特にパンを焼く人は一部のパン屋さんや宗教関係者、貴族のみ。家庭でパンを焼けるようになったのはルネサンス(14~16世紀)の頃とのこと。
「かまど(竈)」
石や土などで囲みを作ったもの。上部に鍋や釜をかける構造になっている。
火の周囲を石で囲った「石囲炉」の進化系。石囲炉は現在もキャンプの飯盒の時に使われる。
日本では明確に料理専用の道具として使われたが、韓国含む他国では暖房兼用として使われたが、日本では調理限定として使われた。
日本における暖房兼用の調理場としては、「囲炉裏」が上げられる。
実は西洋だとかまどのようなものはなく(※)、暖炉の火に直接鍋を掛ける方法しかなかったようです。燃料は薪から石炭に変わってさあ大変。煙などで調理する人の健康が損なわれます。あと熱効率もとても悪かった。
それが変わったのが18世紀後半。アメリカ独立戦争時のイギリス。
軍人で発明家で科学者なベンジャミン・トンプソンが、「直火するより、熱を反射させた方が効率いいわ」ということで、熱源を四方の箱に入れて、上の台に鍋を乗せる「ランフォードのかまど(Rumford fireplace)」を作りました。
ちなみにベンジャミンさんはランフォード伯爵なので「ランフォード」と付けられています。
ついでに彼は下の熱源で直接肉や魚を焼く「ランフォード・ロースター」というものも作ります。
このベンジャミンさんの発明は、後のビルトインキッチンのきっかけになりました。
この後、フランクフルト・キッチンというビルトインキッチン(システムキッチン)の先駆けとも言えるものが出来ます。ちなみにこれを作ったのはマルガレーテ・シュッテ=リホツキーという建築家(女性)です。
料理を含めた家事負担の軽減は、フェミニズム運動と深い関係があるんですね。
(※ってこれ書いた時にはそう思ったのですが、『図説イングランドのお屋敷~カントリー・ハウス』によると17世紀の台所の図にコンロがついたかまどがありました……。Wikipedia「中世料理」にははっきりと「コンロが出現するのは18世紀になってから」って書いてあるんですが)
ってなわけで結論からすると!
語源からして、もう「キッチン」でいいんじゃないかな!!(冒頭に戻る)
あとは「クック・ストーブ」とか「台所用ストーブ」だと現代日本人にも伝わる……ような気がします!
皆さん、良かったら「読者に伝わる」言い方で表す単語があれば、コメントにてお願いいたします!!
~おまけ~
Wikipedia「List of stoves」「List of ovens」より、コンロやオーブンなどに関する単語を調べてみました。
「クックトップ」
システムキッチンにビルトインされた、鍋やフライパンの底を乗せて加熱する場所。我々が言うところの「コンロ」。
アメリカ英語だと「cooktop(あるいはburners)」だが、イギリス英語だと「stovetop」あるいは「hob(本来は「暖炉の横棚」の意味)」。
「
クックトップとオーブンが合体した、イギリス独特のオーブンクッカー。イギリスのキッチンと言ったらこれ。鋳鉄製。
お皿を温める場所としても使われる。あとここに置くとよく洗濯物が乾くらしい。
「バチェラー・グリラー(Bachelor griller)」
直訳すると「独身男性のグリル」。形状はオーブントースターに似ているが、上部にクックトップがついている。
ちなみに英語だとオーブントースターは「Toaster oven」とのこと。
「ビーハイブ・オーブン(Beehive oven)」
直訳すると「蜂の巣オーブン」。ドーム状の形状をしている。ケーキや肉などの他にも、石炭などの産業分野としても使われたらしい。
アメリカ大陸・ヨーロッパでは、産業革命まで使われていた。
「タンドール(tandoor)」
インド北部、パキスタン、アフガニスタンで使われる。甕のような形のオーブン。
これでナンを焼く。ちなみにナンはインド北部で作られており、南部は主に米。
タンドールを含めた粘土窯(Clay oven)は今でも南・中央アジアにて使われている。
「ブルジコ(Burjiko)」
ソマリアの携帯式コンロ。アフリカや東南アジアでも見られる。
臼のような形をしており、穴の中に炭が置かれる。その上に調理に応じた皿を乗せるとのこと。
「ホアンカム・ストーブ(Hoàng Cầm stove)」
ベトナム戦争時に作られた、調理時に発生する煙をなくすシステム。地下にとんでもない長さの煙突を張り巡らせることで煙を冷却させた。
これにより、アメリカ軍に気づかれることなく調理することが出来た。
「ホーボー・ストーブ(Hobo stove)」
移民労働者(Hobo)から。バックパッカーなどが使う、廃棄のブリキ缶で作る加熱調理器具。
「ポットベリー・ストーブ(Potbelly stove)」
由来は「鍋のような腹をしたストーブ」。学校や駅などで見られた、あのストーブ。
日本語だと「だるまストーブ」と訳される。あなたそんな名前だったの。
胴体はふくらんでいるが上部は平らで、そこにヤカンなどを乗せて加熱させる。『もやしもん』7巻でお金持ちの長谷川さんが驚いていた。
【今回の話に役に立ちそうな本】
ローラ・インガルス・ワイルダー(著)『大草原の小さな家』
(碓氷シモン様から「料理用ストーブ(クッキングストーブ)」が出たとコメントいただきました。ありがとうございます!)
トレヴァー・ヨーク(著)、村上リコ(訳)『図説イングランドのお屋敷~カントリー・ハウス~』マール社
(すみません、かまどっぽいの17世紀にはあったようです……汗。密閉式レンジ、ビーハイブ・オーブンの説明も載っています)
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