建物編② アンサー

 この名前を調べたのは、『元聖女のファーメンテーション』を書いた時です。

 主人公モルゲンが住む街を描く時、アムステルダムの街をモデルにしようと思って、すごく悩んだんですよね。



元聖女のファーメンテーション【完】

https://kakuyomu.jp/works/16817330667065107471

(旅を終えた聖女モルゲンと、その周囲が織り成す『その後』の物語。菌と発酵をからめたファンタジーです)



 結構描写にこだわって書いたので、興味のある方はぜひ。

 というわけで、「屋根の下 部位 名前」で検索した結果がこちらです!



「軒」

建物の屋根のうち、外壁よりも外側に出ている部分。日差しや雨よけ用の屋根のこと。



 そうじゃない♪(鈴〇雅之風に)

 ついでに調べたのですが、「軒」は屋根の一部だけど、同じ機能を持つ「庇」は窓・玄関部分に独立して設置されたものを言うそうです。

 じゃあカフェでよく見る店の名前とかが書かれたあのボコっとした四角も「庇」なのかしら(「オーニング」のようなテントではなく、建物の一部である出っ張ったところ)……いや、あれは「オーバーハング」かな。あるいは「カンチレバー」?


 というわけでリベンジ。

 さらに「屋根の下 三角 部位 名前」で検索。



「破風」

切妻屋根(三角屋根)のある建物の妻側の造形。

あるいは、「ケバラ」の裏。破風を隠した板を「破風板」という。雨風から守るためにある。

【妻側(屋根の勾配が見える三角の側面)⇌平側(屋根の棟と並行した四角い側面)】


「ケバラ」

妻側の端の部分にある、屋根の一部のこと。軒先と垂直にある。




 広義では妻側全体を指すようですが、本来は「ケバラ」の裏側にある場所を指すようです。わからん。

 破風と同じ機能を持っている平側のは「鼻隠し」と呼ばれます。わからん。

 建築業者さんはサイトで、親切に写真に赤や黄色の線を引いて「ここだよ」って教えてくれるのですが、あまりにニッチな場所すぎてどこからどこまでなのかわかりません。


 というわけで、シンプルな現代家屋ではなく色々凝ってそうな古い建物で検索。


 和風建築で言うと、神社やお寺とかで見られる、三角形の頂点の下にある「蛙股(蟇股)」とか、お城で見られる「懸魚」などの飾り板をとりつける場所のことのようです。

 そう言われるとなんとなくイメージがついてきました。つかない人は、「破風 蟇股」「破風 懸魚」で検索。「蟇股」や「懸魚」の他にも色んな飾り板があるので、和風建築にこだわりたい人は調べるのもアリ。

 ちなみに三角ではなく丸く沿った形の破風は「唐破風」、平側にわざわざ取りつけられた破風は「千鳥破風」というそうです。二つついた千鳥破風は「比翼千鳥破風」になるそうな。必殺技みたいでかっこいいですね。


 しかし私が探したいのは、どっちかと言うと「妻壁」の方が合っているような気がする私。



「妻壁」

三角形の壁面。


 ですがWikipediaによると妻側全体のことを大体言っているようですし、他の資料も「破風」と書いてあったので、妻壁=破風ってことにします。



 破風は英語で言うと「ペディメント(pediment)」。

 かつてギリシャ神殿では、この部分がとっても装飾されていました。ちなみにギリシャではこの部分を「テュンパノン」と言います。この部分に神話のワンシーンとかが彫刻されていたりするわけです。

 特にペディメント(テュンパノン)は柱がいっぱいある玄関の上によく用いられました。

 ちなみに神殿や博物館の地図記号などで見られる森林みたいに生えてる柱は「ポルチコ(ポルティコ)」と言うそうです。覚えることいっぱい。



「ポルチコ(ポルティコ)」

イタリア語で柱廊、回廊。

神殿の玄関に使われる他、屋根付きの歩行空間として商業に利用された。元祖アーケード街(商店街)。



 ペディメントにはさまざまな種類があり、三角型の他にもアーチ型、まるで二羽の白鳥に見えるスワンネック型、そもそも枠組みなんて関係ないブロークン型などがあるようです。自由ですね。


 ところで私が資料として探していたのは、アムステルダムの破風でした。

 オランダ・アムステルダムの破風は特徴的で、階段のようになった「階段状破風」、教会で鳴らすベルに見える「釣鐘(時計)破風」、屋根の形とか関係ない量産型「フレーム(コーニス)破風」、なんかもう文章で例えようのない「ネック破風」など、特徴的な建物が運河に沿ってずらりとあります。

 あれもそれも「ペディメント」だったんだな。そう思っていた時期がありました。


 Wikipedia「ペディメント」に、「あれはgable(切妻屋根、破風、妻壁)であってペディメントじゃないよ」と教えられます。

 ……私に建築は早かったようです。



 というわけで!

 碓氷シモン様、薄井氷様、田鶴様、maru様、大正解です!!

 皆さん本当によくご存知で……このエッセイは前日にある程度下書きしているのですが、まさかコメント欄で「懸魚」まで出てくるとは思いませんでした。碓氷シモン様、サイトまで教えて下さりありがとうございました。素敵な破風がいっぱいでした。

 コメント欄で『赤毛のアン』の「グリーンゲイブルス」が出たように、名作に登場した屋根や破風もあると思います。皆さん、お好きな破風はありますか? コメント欄に書いてくれたら嬉しいです!


 




【今回の話に役に立ちそうな本】

フィリップ・ウィルキンソン、鈴木博之『知のビジュアル百科 世界の建物事典』(あすなろ書房)

(大体この本でギリシャ神殿の部位の名称が把握できます。なおこの本によると、アムステルダムの家は家具を上の階に運びあげる時、破風の上部に取り付けられた滑車を使っていたようです)


澤井聖一『建築知識2021年12月 洋風住宅・洋館の用語図鑑』エクスナレッジ社

(さまざまな破風や妻壁が紹介されています。古代ギリシャについても書いてあります)


三輪浩之『建築知識2024年4月 中世ヨーロッパの建物と街並み詳説絵巻』エクスナレッジ社

(ポルティコのあるパドヴァが紹介されています)

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