灯される貴女へ

猫又テン



お慕いしております、お姉様。


ずっとずっと、幼少の頃から、ティーカップの持ち方すら知らないあの頃から、わたくしは貴女を恋慕していました。


ダンスの躍り方も知らないわたくしに、躍りを教えてくれたのもお姉様でした。

あの時は申し訳ありません。不器用なわたくしはお姉様の足を何度も踏みつけてしまいましたわ。

ヒールのついたダンスシューズは、さぞ痛かったでしょうに、お姉様は怒ることもせず、「お上手ね」と、わたくしを褒めてくださりました。


お姉様、わたくしは貴女ほど優しい方を知りません。

社交界で噂になっている美男子の美しさも、巷で有名な吟遊詩人の歌声も、わたくしの心を動かしません。


お姉様だけですわ。わたくしの心を揺さぶるのは。


嗚呼、麗しのお姉様。どうか、わたくしのものになってくださればよろしいのに。


わたくしの何が至らないのでしょうか?

爵位でしょうか?見目の良さ?それとも、わたくしが女だからなのでしょうか?

どうか、どうかお願いですお姉様。きっときっと、お姉様に相応しい相手になりますから。至らない点は直しますから。


だから、そんな。わたくしに愛を教えてくれたその口で、そんな言葉を紡がないで。


純白のドレスを着たお姉様は、見惚れてしまうほど綺麗でしたわ。

白がシャンデリアの灯りに照らされて、お姉様が微笑みかけるのが、わたくしであれば、なおのこと素晴らしかったのに。


嗚呼、嗚呼、わたくしの、わたくしだけの麗しのお姉様。

どうしても、わたくしは貴女が欲しいですわ。


シャンデリアのネジを少し緩めれば、お姉様の驚いた顔が、シャンデリアの灯りに照らされて。


ドレスが汚れたって、わたくしは気にしませんわお姉様。

無粋な殿方とは違いますもの。わたくしは、お姉様の内面に一番惹かれているのですから。


嗚呼、お姉様。どうか来世では、一緒になりましょうね。



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