七夕のいたずら
東井タカヒロ
七夕の願い
突然だが、みんなも色々な特別な日を持っていると思う。
誕生日、祝日、祭り、思い出の日。そんな何かしらの特別な日があると思う。
そして、7月8日の今日は僕の誕生日だ。
「誕生日だってのに、誰もお祝いのメッセージすらこねぇ」
改めて自己紹介をしよう。僕は天城宗。高校生だ。
今日は僕の特別な日だというのに誰も僕を祝わない。
「みんな覚えてないだけか……」
僕は教室の隅でスマホを片手に目を閉じる。
思い出してくるのは昔の誕生日の記憶。
楽しかった誕生日、思い通りにならなかった誕生日。
今回は祝わない誕生日だろうか。
「よぉ!宗、こんな放課後1人で残って何してんだ?」
「言わせんな、和樹」
「なんだよぉ、長い付き合いだろ?」
「尚更だ!」
彼は僕と小学生からの同級生、和樹。
運動部でモテモテな罪深い男だ。
天体部に所属している僕とは対照的な男だ。
だが、親友だ。
「それより和樹こそ、ここで何をしているんだ?」
「そりゃ部活だよ」
「ん?お前この前のテストで赤点じゃないのか?」
「ああ、赤点
「うちの高校って赤点あると部活出来ないんじゃないのか?」
「そうだけどよ、先生の手違い?で、俺は赤点じゃなくなったんだぜ」
「そう――か。良かったな。馬鹿男」
彼の赤点の点数は16点だ。先生の手違い程度の誤差の話なのだろうか?
16点から少なくとも30点までに上がるのだろうか。ただの
「宗も早く部活行けよ!じゃぁな!」
「あ、あぁ!」
違和感。確かあいつが赤点だったのは化学だったはず。
あいつには悪いが、本当に赤点を回避したのか確認しに行くとするか。
――職員室。
「え、本当に和樹は赤点じゃないんですか?」
「えぇ、どうやら私の間違いのようでね、ちょうど30点だったよ」
「そう、ですか」
「それがどうかしたのかい?」
「いえ、ただ、あの馬鹿が自慢してくるもんで」
「ははっはは。帰り道に気を付けて帰るんだぞ。最近変な奴もうろついているらしいからな」
「失礼いたしました。」
おかしい。先生は手違いと言っているが、そんな訳が無いだろう。
それに、解答が変わっていたような気がする。
前に見たあいつの答案と違った気がするような……。
「なぁ、聞いたか?4組の美沙が1組の清水と付き合うんだってよ。」
「は?清水がストーカー行為で先生に相談してなかったか?」
廊下を歩いていると、男2人組のそんな話が聞こえてくる。
……何かおかしい。僕の知らない所で何かが起きているのか?
七夕のいたずら 東井タカヒロ @touitakahiro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます