第15話 アカシジア?ラプソディ

私は精神病院に入院していた時からアカシジアらしき症状に長らく悩まされていた


「らしき」というのは主治医に何度も症状を訴えたがアカシジアとは診断されなかったから


それでどうしても眠れない時は看護師詰め所で睡眠薬を飲ませてもらえと指示されただけだった


当時アカシジアというものを知らなかったから私特有の症状なのかと思い従った


私のアカシジア?の症状を説明しよう


それが来ると身体中がぞわぞわして立っても座っても寝てもまったく落ち着かず時計がなかなか進まなくなる


そんな状態がだいたい6時間ぐらい続く


アカシジア?が来るのは不定期だがだいたい夕方にいきなりやってくる


退院してネット検索してどうやらアカシジアに間違いないだろうと確信したのだが


その対処法は原因薬物の減薬、断薬、他の薬物投与と知りがっかりした


今服用している向精神薬で情緒は安定していてアカシジア?以外不満がない


薬を変えるのは今のバランスが崩れそうで怖い


仕方なく自宅でもしばらくはアカシジア?が来るたび立つ・座る・寝るをひたすら繰り返す日々だった


やがて音楽を聴いてみるのはどうだろう?と思いついた


大きな声でいうことじゃないが昔P2Pで集めた音楽ファイルが大量にある


その中には症状を緩和する鍵があるのではないか?


まずヒーリング効果がありそうなファイルから試していく


George Winston・Keith Jarrett・Bill Evans Trio・Miles Davis・Charlie Parker・ドビュッシー・サティ・シューマン・ドヴォルザーク・バッハ・モーツァルト…


どれも効かない


ぞわぞわが気になって音楽に集中できない


落胆しつつHDDの中のAudioファイルを見渡すと一つのファイルが目に留まった


【ラジオ】 氷菓ラジオ 「古典部の屈託」 全36回 佐藤聡美 阪口大助 (mp3 64k rr3%)


Webラジオの中でも私のお気に入りのファイルだ


半信半疑で聴いてみるとお二人の楽しいトークが自然に頭に入ってきた


身体に意識を回すとぞわぞわは続いているのだがラジオに集中すると気にならない


じっと座っていることが出来た


そうして楽しい番組を聴き終わるとなんとぞわぞわが雲散霧消していた


私はアカシジア?に勝ったのだ!


今もこの対処法は有効で重宝している


だから佐藤聡美氏と阪口大助氏は私の心の恩人である


番組をつくってくれた京都アニメーションにも感謝しかない


それだけにその後起こった京アニ放火事件はショックだった


犯人が私と同じ統失だと知り言葉を失った


今もこの事件については心の整理がついてないのでこれ以上の言及はさける


今はただ犠牲者の方々の冥福を心から祈る

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