デバッグ

こつけ

館内編

第1話 案内人

 俺、ピチピチの20歳、水戸元(みと はじめ)は、趣味のバイクで山奥まで来ていた。


 色々なものに興味が出てきやすい俺は、とても珍しい色をした鳥を見つけ、バイクを降りて探しに行ってしまい、そのままバイクの位置がわからなくなり、今はバイクを探している途中だ。


「あれぇー、バイクどこやったかなぁ……ん?」


 バイクを探していた俺の目には、1つの箱が映った。


「なんだこれ……なんかのパッケージか?でも分厚いな……」


 それはまるでゲームのパッケージのような遊園地の柄の箱だった。


 真ん中には黒髪の女の子が、風船を持って遊園地を眺めている。


「うぉっ!?」


 観察を続けていると、急に箱の蓋が開き、中が光った。


 吸い込まれるような感覚に襲われた俺は、咄嗟に周りを見渡すが、さっきと同じ、山奥の風景が広がっている。


「俺……疲れてんのかな……」


 そんな独り言を放ち、とりあえず歩いた。


 が。何か妙だ。軽く2時間は歩いたのに、風景が変わったような気がしないのだ。


 そう、まるで"ゲーム"のように。


 そう考えを巡らせていると……


「やっと気付いた?」


 そう言って突然元と同じくらいの年齢の女性が現れた。


「ぬぉぉ!!?」ドサッ


 俺は突然出てきた彼女に驚いて、尻もちをついてしまった。


「あっはは!驚すぎじゃない?笑えるわぁー!」


「なんだよあんた……急に出てきて……コシイテェ…」


「おっと、自己紹介が遅れちゃったね!私は案内人!この"ゲーム"の案内係をしてるよ!」


 彼女は、とても気さくで、話しかけやすいタイプの黒髪長髪の少女だった。


 俺も軽く自己紹介を済ませ、彼女に聞いた。


「なぁ、ここが"ゲームの世界"ってのはわかったけど、俺のバイクどこ行ったんだよ?んで、案内人のお前は何をするんだ?」


「え?バイク?……現実に戻らないとないよ☆


 あぁ、そうそう!私がきたのは頼み事があるからなの!」


「バイク現実にあるのかよ!?盗まれるかもしれねぇじゃねぇーか!」


「まぁまぁ、自分が帰ることを考えてもらって……

 あのね、今ここの"世界"では、めっっっちゃバグが出てるの!だから、それを直して欲しくて!もちろん!それをこなしてくれれば、素直に現実に返すよ!」


「……それやったら返してくれんだな?で、バグを直す?どうやって?」


「あー、治し方はバグの種類によって違ってくるから、バグの説明するね!

 バグは……」


 彼女の話を聞いてみると、どうやらバグには3つの種類があるらしく、


 1つ目、物体バグ。これは、物が浮いてたり、勝手に動くようになるバグ。


 2つ目、人体バグ。人の体や操作に異常が生じる。この2つを対処するには、バグの原因、"ムクロ"を破壊する必要があるらしい。


 3つ目、異常バグ。これがいわばボスみたいなもので、普通のバグより対処が難しいらしい。その対処法はものによって変わるらしいので、その都度教えるとのこと。


「ま、そんな感じかなぁー」


「ってか、お前が対処すればいいじゃんか。」


「いやね?なんか物体バグとか人体バグとかは行けるんだけど、異常バグに干渉しようとすると、拒否されちゃうんだよー。NPCには異常バグに干渉できないみたい。」


「あ、そうか。お前NPCか。にしては日本語流暢だな。」


「そ、そう?ありがとね?」


 彼女の顔には、明らかな動揺がみられた。


 まぁ気になるけど、深くは探らないでおこう。こえぇし。


「ま、とりあえず俺は何をすればいいんだ?」


「えっと、とりあえずver.1.0の1-1のバグ掃除お願い!困ったことあったらこのバンドに呼びかけて呼んでね!」ポン


 渡されたバンドは、腕時計のようになっており、真ん中に不思議な透明の玉が埋め込まれていた。


「おう!まかせろり!」


「え…なにそれおもんな」


「え?」


 〜ver.1.0 1-1〜


「ついたっ……と。うーん、相変わらず山。」


 とりあえず進んでみると、館が見えた。


 が、その前に目に入ったのが……


「なんだこいつら……木製の人形……?」


(あぁ、そいつらが"ムクロ"ね!)


「ぬぉ、直接脳に語りかけてくるタイプか?こいつらがムクロ……で、どうすりゃいいん?」


(とりま殴ってみ!)


「おう……?」


 ドサッ


「……倒れた」


(これは、バンドの力!これをプレイヤーが付ければ、プレイヤーがバグに干渉できるようになる!プレイヤー限定だけどねっ)


 なるほど、バンドめっちゃ便利やん!


「それより……なんかムクロ多くね?消してきたんじゃなかったか?」


(んー、サボってた!)


「おい」


 数時間。俺はムクロたちを消しながらも、館に到着した……

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