第3話 闇と共にある私。
私は一人で帰宅途中であった。片道、高校から三十分程の時間の事である。
私のメンタルは闇に呑まれた子供の様であった。
不意に言葉がよぎる。
例えば『孤独』、いいえ『コンプレックス』と言った方が正しい。
私は自転車に乗りながら、とある庭先の花壇を見つける。そう、校舎の窓を割っていいのだ。この花咲く花壇をめちゃくちゃにしたい気分だ。
……。
違う、花壇に八つ当たりではなく。もっと内なるモノだ。
私は自転車を停めると。鞄の中から包帯を取り出す。制服のブラウスを上げて、リストカットの傷のある左腕にグルグルと包帯を巻く。
それは、更に怪我をした訳ではない。そう、心が痛いのだ。
『コンプレックス』は愛されたいとの私の中から生まれた雑草。
『孤独』は持て余す永遠の時間。
私に足りないのは愛情……。
———……。
ふと、素面に戻ると、左腕から包帯を取り、大事にしまう。私は何事も無かった様に再び自転車で帰宅の路につく。
そして、自宅に着くと家の中は暗い。両親は看護師である。勤め先は大きな病院だ。結果、夜勤が発生するので夜一人で過ごす事が多い。
ここで夜と言う名の永遠を過ごすのだが。
最近は夜中に家を抜け出して電話ボックスで春利と話し込む。
と……。
「君、未成年だよね?」
声をかけてきたのは、二人組の警官であった。
それはこの時代の電話ボックスにはテレクラなる風俗の張り紙があるからだ。
やっちまった!
それが警官を見た時の第一印象であった。結局、補導されて警察所で母親を待つ事になった。
その後の帰り道、母親の自動車の中では会話は無かった。
帰宅後、私はシャワーを浴びて自室に戻る。今日は最後まで母親と会話は無かった。
これが私の現実である。
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