師匠
食事が終わった後に野草茶を飲みながら話しを続ける。おじいさんは薬師用の腰バック以外の全てを失くしたし、運ばれている最中も気絶していたせいでかなり遠くに来てしまったって。
「レムシャイの街かぁ、困ったのぅ」
「遠いの?」
「ここから直通の乗り合い馬車がなくて、森と山を迂回するため、2度は乗り継がないといけないから3週間くらいかのぅ」
「凄く遠いね」
「遠いのもあるが、失くした荷物の中にギルドカードとお金が入っていたんじゃよ。テントもそのままじゃし」
「その足じゃ遠出は難しいだろう」
ジールが言うようにおじいさんは怪我はしてなかったけど捻挫していたから乗り合い馬車にはしばらく乗れないの。
『(オレ、サガス)』
と言っておじいさんの匂いを嗅ぐと止める間もなくメルが走って行っちゃった。
「行っちゃったけど確かリリのが探し物得意だよね」
『(そう、メルはあきたダケ)』
「待つの退屈だったんだね」
『(リリ、おいかケル)』
「リリお願いね、メルにバレないようにね」
とりあえずここへはティア達との合流ついでに夕食をしただけ。だから宿泊所に移動するはずだったんだけど。
「メリ、じいさんを連れて部屋の確保をして来る」
「お願いします。ある程度の時間になったら呼び戻して門に行くから迎えに来て」
おじいさんを背負って街の中に戻るジールを見送る。見通しの良い場所で採取出来るものがないか待つ間に探してみたよ。
そろそろ呼び戻そうと思っていたらメルがなんとか肩掛け鞄だけは見つけたみたい。城壁が見えてからジールに念話して迎えに来てもらった。ティア達は従魔登録のため連れて来たと門番に言ったら、宿泊所まで1人が身辺警護のため付き添ってくれた。さすがに夜の登録前の魔獣に酔っ払いがどんな反応をするか
分からないからって。
「おぉ、ありがとう」
ボロボロになったバックを返したが、元々日帰りの予定だったから最低限の物しか入ってなかったらしい。捻挫は中級ポーション以上だと即座に治るんだけど、私もジールも初級しか持ってないし、おじいさんは持っていたのは使用してしまったそう。初級だと痛みと腫れがほぼなくなるだけ、明日着替えなど必要な物と一緒に買わなきゃね。
「ところでおじいさんは薬草と素材を採取してたって言ってたけど、素材採取専門の人?それとも薬師や治療関係?」
「薬師じゃよ」
「私は今日薬師見習いになりました」
「ほぉ、こんな立派な従魔がいるからテイマーだと思っていたが、薬師見習いか」
「テイマーはまだ保留なんです」
びっくりしているおじいさんにファミリアという特殊なテイムのスキルで、怪我をした野生のティアを治療したのが最初で、その子供だったリリとメルも同時にテイムしたことや、どこからか付いて来たスライムもテイムしたと伝えた。さすがに獣人のステラとジールもテイム出来ている事は言えなかったよ。
「エナの餌は薬草やハーブだけなんですよ」
「ほぉ、珍しいのぅ」
「だから採取に失敗したり、虫喰いや半端な物を処分してもらってます」
という感じでお互いのことを簡単に説明していた。
「ところで嬢ちゃんは誰か師事してる人が居るのかのぅ」
「ポポラ村の薬師のおばあさんのところでお手伝いしてましたが、今は居ません」
「何故じゃ?」
事情を説明すると『無謀なことをしおって』と叱られたが、知識を利用して生き残ってスキル授与出来たことを褒めてもくれた。
「そういう事ならしばらくわしが嬢ちゃんの面倒を見ようか」
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