居候

 お腹がすいて目が覚めた。熟れた果実は食べちゃおうとカバンから全部出して選別した。2個だけ明日の朝のために残して全部食べた。明日はもう少し奥の方まで食料を採取しながら探索しよう。


 翌朝起きたら森豹の親子の姿はなかったから怪我が完治して棲家に戻ったのだと思って、取っておいた2粒の果実を口に放り込んで昨日洗えなかった血で汚れた布を洗うため川に向かう。その前に小桶を忘れずに回収した。布を手ごろな枝に引っ掛けて干している間に、枯れ枝や蔓を使って魚用の籠を作って少し下流に沈めた。これは放浪時代にお母さんがやってた方法を教えてもらったんだ。

 上流の方へ走って入り、長い枝で川辺をガサガサと揺らしながら大きな音を立てて川を下る。驚いた魚が籠に入るという簡単な追込み漁だ。数匹でも獲れたら儲けもの。

 急拵えの籠は目が荒かったからほとんど逃げられたけど、大きなのが2匹も取れた。籠は持ち帰って後でゆっくり改良しよう。1匹はその場で内臓を取り出して洗い殺菌効果のある葉に包み、もう1匹は小桶に少量の水と一緒に入れた。

 入り口前に焚き木をして魚を焼いて食べた。久しぶりの暖かくお腹いっぱいの食事に満足した。

 今度は採取用のポーチとナイフ、竹筒を持ってさっきとは反対側を探索する。薬草や食べられる物を探すのと、周辺の確認をしなきゃ。一定の歩数か方向を変える時に、道標の目印を枝を折ったり、小石を集めて置いたり付け、薬草採取の時の新しい採取場所を探す時の知恵を使って調べながら進んで行く。情報がある時には更に別の印を幹の傷か、小石の並べ方で区別して付けておく。どこにでも生えている手に入れやすい薬草は印を付けず状態の良い物を選んで採取する。植生を見てどんな薬草がありそうか考えながら、根絶しないように気を付けて採取していく。

 人が滅多に入らない森の奥だけあって、薬草の種類も量も豊富で色艶も良いが、覚えている人間が食べられる植物はあまり見つからない。薬草の中には料理に使える物は出来るだけたくさん採取した。

食料の成果は料理に使える薬草数種類と、火で炙れば食用になるきのこが1種類。荷物を奥に置いて、そのあとは枝や枯れ葉を集めることに精を出す。明日からしばらくは水汲み以外は探索に力を入れたいから。ついでに大きめの石があれば拾い集めた。

 夕方は半量のきのこを炙って食べた。


そんな感じで探索した2日探索したが、かろうじていくつか食料が見つかったが、充分な量はなかった。

「あと2、3日探索して食料がなければ新しい拠点を探すしかないかな」

呟きながら洞窟に近づくと、入り口前に森豹の親子と獲物の小山が見えた。

「え~棲家に帰ったんじゃなかったの!」

しかも1匹増えてるし。

でもこれで食糧の心配はなくなったみたい。

その日から親子も洞窟に自分達の寝床など元の巣穴から移動させて住み着いた。勝手に居候されてしまったよ。


それから毎日子供のどちらかが探索に着いて来る様になったので道標の目印を付けなくて良くなってラッキー♪

食事も果実や木の実、きのこを食べていたら、探索中に教えてくれる様になったし、親が持って来てくれる様になった。教えてくれるっていってもテイマーじゃないから話せる訳じゃなくて、お互いがジェスチャーで察してる感じ。


ここに来てたぶん10日くらい経ったと思う。ここは川が近くにあってそこそこ陽当たりも良いし過ごしやすい。でも私の行動出来る範囲には食べられるものが多くないような気がする。親子がどこかから持って来てくれるからやっていける感じ。それに1人と3匹ではちょっと手狭かなぁと思う。もう少し捜索範囲を拡げてみてからだけど、別の拠点も探した方が良いかもしれないな。

というか今はそれほど困らないんだけど、呼びかける時のニックネームあった方が便利なんだよね、付けちゃっても良いのかなぁ?


そしてもう1匹のスライスは森豹からメリが常時身に付けている腰バックか、背中にひっ付いている事が多かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る