火葬場のある町

沙海

第1話 女子高生の調査︰独白

 私の住む県に、鈴が丘市という地域がある。

 鈴が丘市は広く平坦な土地で坂道が少なく、真っ直ぐな道路が多い。横幅が広い道だから大型車でも運転がしやすい。

 人口は多くないし目立った商業施設も無い、観光するような歴史建造物も無い。

 私はその市によく行く。私の住む都市部からは、JRで各停に乗り更に地下鉄を乗り継いで30分程度。鈴が丘駅で降りる。私が通う高校の帰り道にあるので、アクセスは良好。

 私はこの市にある鈴が丘市立図書館が好きだ。元ショッピングモールを改装した6階建ての図書館で、新聞や雑誌、文学書から論文、図鑑や漫画、絵本までずらり。書物と呼ばれるもの、文字が書いてあるものならば何でも揃っている。

 三度の飯より文字が狂うほど好きな私にとっては、第二の家のような存在だ。小学生の頃から現在の高校生に至るまで、司書さんに顔を覚えられるほど通い詰めていた。


 私はそこで知識をよく吸収した。惹かれる話題ならばノートにまとめ、自作の研究ノートのように仕上げることもあった。


 例えば、鈴が丘市の歴史。

 鈴が丘という地名は、大正時代に付けられた名前らしい。

 鈴が丘市の元となる地域は戦国時代から存在していた。かつて、この地域は火葬場が多かったらしい。なるほど、だから周辺に病院と寺が多いのだ。病院で亡くなったホトケサマを弔い、火葬場まで運ぶ流れが昔から出来上がっているというわけだ。

 ついでにゴミ焼却場もあるため、町は常にを燃やした煙がもくもく立ち昇っていたようだ。

 そんな場所だから、鈴が丘はかつてすすが丘と呼ばれていた。地域柄あまり縁起の良い場所ではないし、お洒落な地名でもない。過疎化を防ぎ住民を呼び込むためには工夫も必要なのだろう。


 火葬場や処理施設は、現在は煙が出ないような処理方法に変わっているけど、施設の数は当時と変わっていない。


 話を現代に戻そう。

 私がこの地域に興味があることがもう一つある。

 それは、少なくともここ10年のうちに市内で行方不明になったり死亡している人が急増していることである。

 2011年ごろの新聞には、鈴が丘市内で死亡した人の氏名や死因が記載されている、『みんなの鈴が丘』というコーナーがあった。

 とある病院では、心不全または薬物投与による副作用による死亡事例が多発しているとの報道記事。

 またある高齢者施設では、死亡した入居者の家族、親戚が失踪、遺体として発見される事例もあった。

 2011年以降、そういった記事が異常に目立つのだ。


 2013年の時点では、県内には当時44の火葬場があったそうだ。

 また、一昨年発行された2024年の新聞記事の隅っこに小さく掲載されていたが、44のうち鈴が丘市内にある11の火葬場の運営が、とある外国系団体に委託されたようだ。火葬場は稼働中である。

 同年の夏に刊行された雑誌に、私の好奇心に触れる見出しを発見した。


『夜な夜な火葬場に停まる不審な車』

『患者不審死100件超! 看護師による連続毒殺』

『鈴が丘行方不明者、昨年比11人増。若いサラリーマンから児童まで』

『県内の永住外国人者数の急増。雇用拡大へ』


 これは偶然かもしれないけど、県内の外国人者数が増えた時期と、火葬場の業務委託や行方不明者、不審死が多発した時期が被るのだ。

 いまも県内の外国人は増え、外国人労働者も多くなっている。夜のコンビニなどは殆ど外国人が働いている。病院の看護師だって、外国人が増えているとニュースで報道していた。


 私の頭の中にはひとつの仮定がある。誰にも話したこともなく突拍子もない与太話。

 近い内に、信用できる誰かに話したいと思う。

『●されて●●を●●された人が、連れて行かれた火葬場で●●されているんじゃないだろうか』。


 ――私の考えすぎじゃなければ良いのだけど。

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