◇
「はい」を選んだ僕は、指定された住所へ向かった。
だがそこにいたのは、もう生きているとは呼べない“何か”だった。
動かない瞳。笑わない口。まるで、生気をすべて吸い取られたような姿。
一方、「いいえ」を選んだ僕は、翌朝、確かに目覚めたはずだった。
だが、誰も僕を認識しなかった。
友達も家族も、スマホの連絡先も、すべてが空白だった。
存在しているのに、どこにも“居場所”がない。
そして、ある夜、夢とも現実ともつかない薄暗い空間で、僕は“あの誰か”と再会した。
「……おまえは、もう“ここ”の者だ。」
その声は冷たく、僕の魂を剥ぎ取るようだった。
恐怖に震えながら、僕は悟った。
この世界の“生きている”とは、もう意味を持たない。
「はい」でも「いいえ」でも、僕たちは答えた瞬間から、生の枠からはみ出してしまったのだ。
スマホの画面に、真っ赤な文字で最後の警告が現れた。
「逃げられない。答えた者は、もはや人ではない。」
「生と死の狭間で彷徨い続ける“存在”として、永遠にここに縛られるだろう。」
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