盆・BONB・梵
犬丸工事
第1話 藤悟、あの夏の盆を振り返る
盆、という行事について考える時、何を思いつくだろうか。
世間ではご先祖様が帰ってくるという日。
普通にこの日について連想することといえば、田舎への帰省やら墓参りだろう。
父母のもとに帰って、のんびりのんびり。都会での土産話などに花を咲かせたり、地元の盆踊りなんかに参加してみたり。それが世間一般、普通のことだと思う。
……が、俺の場合は一味、いや、二味、三味くらい違う。
田舎への帰省やら墓参りやら、そんな日常チックなものとは程遠く。
俺的な盆といえば、竹に雀。そして、故郷の名産、笹かまぼこ。これに尽きる。
なんでかって言えば、「この地にこのような美味い物が生まれたのは、ひとえに儂のおかげ! 崇め奉るがよい!」とかほざく野郎を、若干一名知っているからである。
そして、そいつと出会ったのが、盆。まさにその時。
そう、この時、俺の家では事件が起きた。信じられないようなことだが、これから話すのは実際、俺が体験したことだ。
これから故郷へ向かう列車に乗ろうという所だが、着いた先に待ち受けることを思うと軽くブルーになってしまう。なので、時を忘れるためにも、話させてもらおうと思う。
あれは、俺が十八の時、ちょうど大学に入って一番最初の夏。少し記憶を遡るだけで鮮やかに思い出せる、それくらいに強烈な印象を残す出来事。
あの日も確か、今日みたいに暑くて、朝から蝉がうるさいくらいに鳴いていた……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます