第8話

多分、30分くらいプールで会話した。

少し身体が冷えてきて、二人でプールサイドに置かれたソファに横になる。


大きな丸いソファで、和政とは密着する距離だった。


「サイコーだなー、ほんと」


「ね、すごく楽しい」



3本目のビールを二人で開けながら飲む。

ソファの横のサイドテーブルにビールを置いて、どちらからともなく、唇を重ねた。


和政に腕枕されてるような姿勢になって、私も左腕を和政の右肩に回すように添える。



「ありがとね、和政」


私の頬を右手で優しく撫でてくれた。

和政の、綺麗な長い指が私の頬や唇をなぞる。


触られた部分が気持ちよくて、少しだけ身体が震えた。



「あ、寒い?そろそろ、中入ろうか」


「え?いや、……えっと、」



たしかに、少し寒い気もするけど……!今のはそうじゃない……!



「夜も結構暑いみたいだし、一回中に入ってから、またプール入ろっか」


起き上がって、二人分のビール瓶を片手で持ち、私の手を握って起き上がらせてくれた。

勧められるがままに一度部屋に入り、体を拭く。



「水着、この暑さならすぐ乾きそうだよね。

洗濯機のところに乾燥機ついてたし、脱いだら先に水着かわか、」



体を拭き終えた和政に後ろから抱きついた。


和政の身体から、少しだけプールの匂いがする。

湿ってる背中に唇をあてた。



「……しおり?へいき?酔っぱらった?」


「よ、……酔ってないよ。

わたし、このくらいじゃ酔わないでしょ?」



和政は私の方を向くと心配そうに見つめてくれる。


……ちがう、わたし、心配されたいわけじゃない。



「たちくらみ?」



「和政は、……その、……したく、ならないの?」



小さな声で、水着のまま言った私をびっくりした様に見下ろすから、私も思わず目を逸らす。



「……え?」


「あ、えっと、……私、別に酔っ払ってないし、記憶もあるし、体調もすごくいい。

むしろ和政は、その、……」



続きを話す前に唇を塞がれた。

そのまま、優しく右側にあった大きなベッドに押し倒される。


この角度で見る和政、久しぶりだ。



「いいの?

本当に酔っ払ってない?イヤじゃない?疲れてない?」


「う、うん……。イヤじゃないよ」



ヘアクリップを優しく外された。

髪がおろされると、和政は優しくその髪を撫でてくれる。


そして、確かめるように何度も唇にキスされた。



「……しおり、香水つけてるの?」


「そう、これ買ってみて、」



「俺といるときだけにしてね、いい香りすぎて嫉妬する」



まだ少しだけ濡れてる水着を私は自分で脱いだ。


体に張り付いて、脱ぎづらくなった部分を和政が手伝うように、肌に触れる。


ベッドの奥にあったボタンを和政が押すとカーテンがかかって、部屋が間接照明で暗くなった。


目が馴染むのに時間がかかってる間に、和政は私の唇に深くキスをする。


丁寧に体に触れながら、息が苦しくなったあたりで唇から唇を離して、胸のあたりを優しく舐められた。

漏れる声を両手で抑える私を見ると、少しだけ微笑んでから、片手を下に持っていき、私の気持ちよくなるところにそっと触れる。


気持ちよすぎて、思わず和政の肩をつかむと、目があった。



「きもちいい?」


「……っ、うん、きもちいい」



そのまま和政の首に腕を回して抱きしめる。

指が私にからみついて、息が荒くなった。


ぎゅっ、と和政に抱きついて、そのまま気持ちよくなる私を見ると、優しく手の甲にキスしてくれる。


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