水に対するホラー小説

鬼束ハク

プロローグ

ーー水がテーマね…。締切は28日と。

 思いっきり背筋を伸ばす。その拍子にギィィと座っていた椅子が悲鳴をあげる。そろそろ5年選手だったか。社会人になったときに買ったゲーミングチェアである。

 いろいろな小説を大学生の時から書き始めて、その後も仕事の傍らに書いていたが、特に大きな賞も得られず、泣かず飛ばずのまま今まで来てしまった。どうしても途中で飽きてしまい、長編小説は書けなくて、短編小説を数ヶ月に何個かのペースで書いてきた。まぁ、何かに応募したこともないのが大きな原因だろう。そう自分に言い聞かせて騙し騙しにやってきた。

 俺も5年か。そろそろ筆を折るべきか悩んで生きていた。

ーー俺の作家人生をかけて。やってやろう。

 少し前のホラー番組でも逃げちゃダメだよって言ってたな。良い機会だ。

……ひとつ目のタイトルは水の音っと。

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