「なんちゅうカッコしてんだあ!」


 ポマードでテラテラしている頭を大袈裟に抱えて見せるマネージャーに


「うっせえなぁ!! 来てやっただけでありがたいと思ってくれ!!」言い返すと


「どういう事だ!!」と聞いてくるので


 私は頭の中の“カレンダー”は無視して嘘の理由を述べてやる。


が間近なんだよ!! お客に迷惑を掛けない保証は出来かねるからやっぱ帰るよ!」


「まあ待て待て待て!! クリスマスイブの“インペリアルスイート”! ステイで行ってみたくねえか? お前にピッタリだろ?!」


「私のこのカッコじゃ、真逆だろ?! そんなキラキラしたのは結衣ちゃんとかに振ればいいだろ!」


「みんなご指名満載でさ! 『ステイ』程にはカラダが空かねえんだよ! まさにこういう時こそ!後輩のフォローをしてやるのが主任たるお前の役目ってもんだ!」


「その主任ってホント何なの?!勝手に名刺作ってさ!! 『どうしても!!』って言うんなら着替えなきゃだから、一旦、家に帰るよ!」


「んなこと言ってそのままバックレるつもりだろ!! 奥のクローゼットに“よそ行き”が一式あるから、着替えて行ってくれ!! 頼む!!」


 コイツがここまで必死に頼むのは絶対裏があるに違い無いが……ギャラ+2万で手を打った。


 マネージャーに「着替えはするけど……ムシュー●のニオイがプンプンしててクレームになっても知らねえぞ!」

 と釘を刺すと


 ホッ!とした顔のマネージャーから「バカなやつだなあ! 無臭だから“ムシュ●ダ”って言うんだろ」と軽口を叩かれた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る