静謐感とか、「悟り」や「禅」の精神が漂う、とても美しい物語でした。
世界が滅び、生き残っているのはたった二人のみ。
主人公の少女たちは、最後に行く当てのない船旅に出る。
これまで、自分たちは生き残るためにたくさん頑張ってきた。そして、これから終わりを迎えようとしている。
そこには果たして、意味はあったか?
そう問いかける彼女の心にあるのは絶望感ではない。やれるだけやった。そして後悔はないこと。
自分の終わりに、自分の人生に納得できること。
そんな彼女の心の中はとても透き通っていて、同じく世界も輝いて見える。
死を覚悟し、受け入れた人間だからこその力強さと心の安寧。
この感じは星新一の代表作の一つでもある「処刑」に通ずるものがあると感じました。死を恐れなくなった人間の得る静かな「悟り」の境地。
世界の大きさとかを感じさせられ、とても美しく心に響くエンディングは必見です。