第17話 平和のための契約結婚
魁は本日の目的を再び切り出した。
「ということで。鬼と人間の間を平和に保つために、桜さんと契約結婚をしたいのです」
「でもなぁ。イマドキ契約結婚なんて……」
祖父は眉をしかめて渋るような表情を見せた。
そこを魁が畳みかけるように言う。
「それがですね。先ほどもいいました通り、昔のように鬼の隠れ里が1つというわけでもないのです。そのせいで長も複数ですから、いくら鬼の意志決定がトップダウン方式というわけにもいかず……。僕の里でも意見が割れちゃってるくらいなので、色々と難しいのです」
鬼頭家の面々は「「「「あー」」」」と声を出した。
「僕は平和的に生きていくのが一番だと思っています。ですが、血の気が多い者も多くて……。なにせ鬼ですから。そこで深刻で厄介なことが起きる前に、契約結婚をもって人間と平和に共存したいと思っているのです」
魁はにっこりと笑った。
(スウェット姿でも可愛い~)
桜はうっとりと魁に見惚れた。
「ですが桜さんに無理強いするつもりはありません」
魁は桜と視線をしっかり合わせると一瞬だけ真剣な表情を浮かべ、次の瞬間、花が咲くような華やかな笑みを浮かべた。
(キャーーーーーー―)
桜の心臓はドキンと跳ねて、真っ赤になってうつむいた。
父と祖父は同時に舌打ちをする。
母は口元に右手をあてて、ホホホ、と笑った。
「もちろん契約内容は、鬼頭家の皆さんにとって損になるようなものではないと自信を持っています。なので契約条件の確認はしっかりとしていただいて、結論を出していただきたいのですが……」
魁は鬼頭家の面々とそれぞれに視線を合わせながら言った。
ここで桜は疑問を持った。
なぜこんなに良い条件で契約結婚を持ちかけることが出来るのかと。
「鬼の里って何で稼いでるんですか?」
「まぁ、色々と……」
桜の疑問に
(誤魔化されているっ)
なんとなく面白くない気もしたが、人さまの経済状況を探るというのも行儀のよいことではない。
この場合は人ではなく鬼だが、それでも答えたくないことを無理に聞き出す必要もないだろう。
なぜなら桜が知らないだけで、祖父や父はその辺も詳しく知っていそうだったからである。
(ヤバイ商売じゃなきゃいいよ、ヤバイ商売じゃなきゃ)
それにヤバイ商売と魁は結びつかない。
(お小遣い稼ぎができて、契約でもこんな綺麗な人と結婚できるのならお得では?)
単純な桜は、そう結論を出した。
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