クールに見えて実はポンコツな学園探偵、姫崎さんは俺を助手にしたくてしょうがない

三丈 夕六

第1話 クールな名探偵?姫崎さん

 //SE ひぐらしの鳴き声(遠くで)

 //SE 教室の扉がゆっくり開く音

「……あれ、転校生くん。まだ教室に残っていたのか」


 //SE 足音がゆっくり近づく

 //SE 椅子を引く音、腰掛ける音


「ふふ……私もだ。少し用事があってね」


(小さな間)


「この学園には……もう慣れたかい?」


(主人公の反応を聞いて)

「そうか。転校して二日……しかも全寮制だ。慣れるまで時間がかかるのも当然だな」


 //SE 小さな笑みの吐息


(おずおずと名前を尋ねられ)

「……あ、そういえば自己紹介をしていなかったな。失敬」


 //SE 制服を正す音。(擦れる音)


(声を少し柔らかく)

「私は──姫崎涼香ひめざき りょうか。中等部からずっと、この学園に通っている」


(主人公が噂を口にする)

「……もう耳に入っていたか。そうだ、私はこの学園で探偵役・・・をしている」


「本物の探偵なんて大層なものじゃない。依頼といっても、落とし物探しや探し猫……そんなところだ」


(ふと目を細め)

「……今日も一つ依頼を受けていてね。クラスメートのワイヤレスイヤホンを探してほしいと頼まれた」


 //SE ため息をひとつ

「……でも、収穫はなし。落とし主の行動は全て洗ったが……見つからない」


(主人公の提案を聞く)

「え……Bluetoothを使って探す? 近くにあれば設定画面に表示される?」


 //SE 息を呑む音

「……それだ! どうして気づかなかったんだろう……?」


(少し照れて)

「私は機械は苦手で……はは……恥ずかしいな。慣れていたらすぐに思い着いたかもしれないのに」


(微笑んで)

「しかし君、よく教えてくれたね」


(ハッとした様子で)

「あ、こうしている場合じゃないな。依頼主にスマホを借りてくるよ!」


 //SE 椅子を引く音


(戸惑ったように)

「え? ……君も一緒に来てくれるのか?」


(少し笑みを含んで)

「ふふっ……ありがとう」



 //SE 廊下を歩く音、部活動の声が遠くから聞こえる



「設定画面を開いて……接続候補を探して……」


(しばらく歩き、外へ)


 //SE ひぐらしの声が大きくなる

 //SE 足音が砂利を踏む音へ変化


「校舎内にはなかった。残るは寮の方面だけか……」


(急に声が上ずる)

「……あっ! 見てくれ! 型番が表示された! この草むらの中だ」


 //SE 草をかき分ける音


「……でも、この草じゃ……いや、諦めていてはダメだな。手分けをして探そう」


 //SE 草をかき分けて探す音。


(しばらくの間)


 //SE 遠くで聞こえるカラスの鳴き声。


(小さくため息を吐く)

「もうすぐ日が暮れる。この中を全部探すなんて、本当にできるのか? このままじゃ……」


(主人公の提案を聞いて)

「音楽を……最大音量で流す? ……なるほど」


 //SE イヤホンから微かに音楽が流れる

「あ……! 右の方から聞こえた……行こう」


 //SE 草をかき分けながら移動、音楽が少しずつ大きくなる


「もう少し先のようだな」


(主人公の意見を聞いて)

「あの木の近くが気になる? 行ってみよう」


 //SE 草をかき分けて移動する音。音楽がさらに大きくなる。



「……近い」


 //SE しゃがむ音

 //SE イヤホンを拾い上げる音


(安堵の吐息)

「あった……良かったぁ……」


 //SE 小さく笑う声。


 (少し震える声で)

「失敗していたら……またポンコツ探偵なんて……」


(主人公の疑問に慌て様子で)

「な、なんでもない!」


(取り繕う雰囲気で)

「本当になんでもないぞ!」


(徐々に自信なさげに)

「……うん、その……み、見つかってすごく……助かった。君のおかげだ」


(気を取り直したように)

「しかし、なぜイヤホンがこんな所に?」


 //SE カラスの鳴き声


(主人公の意見を聞いて)

「……なるほど、カラスがここまで運んだのか。近くに巣があるのかもしれないな」




 //SE 蝉の声が少し遠ざかるようにフェード

 //SE 近付いてくる足音。


「……ねぇ」


 //SE 耳元に寄る音


(囁くように)

「君のアドバイス、すごく助かったよ? それで、その……」


(恥ずかしそうに)

「私の……助手になってくれないか?」


(小さな間)


(はにかんだように)

「……本気だよ?」


 //SE 蝉の声フェードアウト



 ―――――――――――

 あとがき。


 お読みいただきありがとうございます。本作は全5話の短編作品となります。ぜひ姫崎さんとの甘々探偵ライフをお楽しみ下さい。完結まで毎日11:03に投稿致します。


 もし少しでも楽しめた、期待できる、姫崎さん可愛いと思われましたら作品フォロー、⭐︎⭐︎⭐︎評価やレビューなどをお願いします。


 次回、姫崎さんがワイヤレスイヤホン探しのお礼をしたいと言い出して……? 屋上のシチュエーションをお楽しみ下さい。

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