オービタルミツバチモドキ
■ 1. 学名・和名・分類
学名:Transhemiptera peregrinus @ Orbis Tertia
和名:オービタルミツバチモドキ
分類:オルビス・テルティア圏 動物界 節足動物門 昆虫綱 長距離翔目(Migriptera)
■ 2. 生息地
オルビス・テルティアの両半球に広く分布。繁殖地は北半球の温帯草原と南半球の亜寒帯湿地で、それぞれの季節に応じて往復移動を行う。移動経路は惑星規模で、赤道を越えて2万km以上の距離を飛行する。中継地点として赤道付近の「カリナ諸島」や高山帯の花畑を利用し、そこでは数百万単位の群飛が観測される。
■ 3. 成体の体長
体長は約9〜12cm。細長い胴体と2対の半透明翅を持ち、翅脈は淡く青白く光る。胸部には特異な「恒星方位器官」があり、惑星の自転軸と恒星位置の変化を感知して方向を決定する。腹部には脂質を多く含む貯蔵嚢があり、長距離飛行のエネルギー源として機能する。
■ 4. 生態
【餌】
主に花蜜と微細な花粉を摂取するが、渡りの中継地点では樹液や小型昆虫も捕食し、エネルギーを確保する。吻は伸縮自在で、深い花筒にも届く。
【行動】
惑星の1年=地球の約4年という長い季節周期に適応し、成虫は片道約2年をかけて半球間を移動する。北半球の夏(惑星暦)に孵化した個体は秋に南半球へ向けて飛び立ち、2年後に成熟して北へ戻る。このサイクルを維持するため、群は複数の世代が空中で混在する「連続渡り型」。飛行高度は平均1,500mだが、季節風に乗るときは3,000m以上にも達する。
【繁殖】
南北の繁殖地では、雌雄が群飛中に空中交尾を行い、到着後に地表近くの低木や草本に卵を産みつける。卵は長い休眠期を経て孵化し、幼虫期を1年近くかけて過ごす。
【絶滅危惧度】
現状では個体数は安定しているが、渡りルート上の花畑や樹液源の減少が懸念される。特に赤道付近の中継地の荒廃は群全体の存続に直結するため、現地では保護条例が施行されている。
【現地民との関わり】
現地の遊牧民は、この虫の渡りを季節の暦として利用する。群飛の影が草原を覆う日が来ると、彼らは家畜を次の放牧地へ移動させる。また、翅脈の光を捕らえた布飾りは「帰還のお守り」として贈られる風習がある。
■ 5. 発見時の状況
私は初めてこの大渡りを目にしたとき、砂漠の端に立っていた。地平線の彼方から、淡い青白い光の帯がゆっくりと空を覆い、やがて頭上を無音で通過していった。それはまるで星空がひと塊になって移動しているようだった。記録装置を構える手が震えたのは、単なる感動だけでなく、その規模の圧倒的さゆえだ。後で現地民に「渡りの道を横切るのは雨雲に傘なしで挑むようなものだ」と笑われた。実際、その日の午後には翅粉まみれになり、髪はきらきらと光る銀砂のようになっていた。
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