第2話 フラワーオブ、フラワーチキン。

「今日は何か、フライドチキンが食べたいわ。」

「そうね、私もよ。」

「じゃあ、フラワーオブ、フラワーチキン、  通称、FFCに、行きましょうよ。」

「いいわね。FFC。」

「そうね。」

32歳、コンビニのバイト店員、かおりこ。

30歳、教育出版物系OL、さくら。

28歳、缶コーヒーの自動販売機営業、りさ。

の、3人組は、趣味は、手工芸。

いつも通っている、近所の、大型手工芸店の、

新しい手工芸紹介、の、コーナーに、頻繁に足を運んでいる。

何回も通ううちに、なんとなあく、ポツリポツリと会話をするようになり、今では3人で、手工芸とは別に、トリオ、ザ、トム、ワトソンを立ち上げ、日々、身近に起こる何でもない出来事を、事件に仕立て上げる、常習犯だ!


さて、今日は。

3人の意見が一致したので、フラワー、オブ、フラワーチキンに、フライドチキンを食べに行くことにした。

その名も、

花の中の、花鶏肉、である。

なに、大したことはない。

可愛らしい5枚のまあるい花びらを持つ、花の形をした、ピンク色のお皿に、

ただの、塩味のフライドチキンが乗っけてある、それだけのモノだ。

それで、花の中の花鶏肉、というのだ。

だが、見た目がシンプルだからといって、

バカにしてはいけません。

味も、ただの、塩味。

でもそれが、

シンプルでとても美味しいと、20代後半から、70代後半位までの間で、大人気。

が、20代後半未満には、何故か人気のない、そんな大人テイストの、フライドチキンなのである。

ここのチキンに使う調味料は、塩、のみ。

と、いうと、ヒマラヤの岩塩とか、

海洋深層水から作った塩など、懲りに凝った塩と思われる諸君も、いるだろう。

でも、それは、まだ、わからない。

企業秘密の、ただの塩味、というフレーズが、ウリものなのである。

当店自慢の、こだわり抜いた、ただの塩。

という、看板に釣られて、いろいろな年代の人が、入ってくる。

が、何故か、若い年齢層のお客様は、一度食べたら、二度と来なくなる、不思議な、チキン。フラワー、オブ、フラワーチキン。

あなたも、20代後半になったら、

是非、出かけてみてください。


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