明星
鈴音
明星
幼い頃から草原で星を見るのが好きだった。届きそうで届かない星。闇を照らすあたたかな光。それを目を輝かせながら見ていた。
私だけの星が現れたのは、ある暑い夏の日。その星は、まるで生まれたばかりのようなささやかな光だった。ささやかなのに何故か眩しかった。その星は見る度に輝き方や色を変える。不思議な星。目が離せなくなってしまった。その星を見る度に感情も揺れ動いた。嬉しくなったり、怒りを感じたり、悲しくなったり、楽しくなったり。
気が付けばその星が現れてから幾星霜の時が経っていた。理由は分からないけれど、星は少しずつ大きくなってきている。草原を十分に照らせるほどに輝きも増している。夜なのに昼のように明るかった。それでも、太陽よりもはるかに優しい光だった。
私はその星を終わりまで見届けることにした。毎夜草原に通っては空を見上げた。その星は相変わらず草原と私を照らしていた。私の命が尽きるまで、いつまでもずっと。
明星 鈴音 @suzune_arashi
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