『シアワセノカタチ』完結編

鈴木 優

完結編

   『シアワセノカタチ』完結編

               

               鈴木 優


 風が頬を撫でる。春の匂いがした。

 

 「あの頃の自分に、今の俺を見せてあげたい」

 

 かつて『シアワセノカタチ』を探していた。

 

 誰かと比べては落ち込み、手に入らないものばかりを数えていた。

 でも今は違う。

 朝、目覚めてコーヒーを淹れる。

 

 仕事帰りに見上げた空が、少しだけ綺麗だった。

 

 友人から届いた「元気?」の一言に、心が温かくなる。

それらは、誰かにとっては取るに足らないことかもしれない。

 

コーヒーも、もう緩く感じない

 

 でも、俺にとっては確かに「シアワセノカタチ」だった。

 

 彼女と二人、俺は一歩前に踏み出す。

 

『シアワセ』に形があるとしたら、多分普通にこんな感覚なんだろうと...

 

 心の中で、過去の自分にそう告げた。

 そして、春の音に包まれながら、二人で未来へと歩き出した。

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『シアワセノカタチ』完結編 鈴木 優 @Katsumi1209

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