第二章 古代の東国

第二章のはじめに

 第1章では、倭王権が律令制を取り入れるにあたって、①仏教の受容が必要だったこと、②仏教の受容は前方後円墳消失の原因となったこと、③消失した前方後円墳で行われていた祖霊祭祀を古代寺院が引き受けたこと、そして④仏教が国家鎮守の国教となったことで古代寺院が衰退したこと、以上の4点が生じた経緯について述べてきた。


 第2章では古墳時代後期から奈良時代を中心に、その時代の東国では何が起きていたのかを記していく。


 ただ東国といっても範囲は広く、かつ、時代ごとに東国という言葉が指し示す地域も異なっていたため、第1章のように東国全体について経年的に記述していくのは不可能である。


 したがって第2章では、東日本の古墳時代後期から奈良時代の遺跡や神社仏閣を取り上げ、その歴史や周辺事項についての考察を記述していく形式とする。


 各々の考察について、冒頭に述べた①~④の点を可能な限り共通事項として含めることで、第2章全体を俯瞰すると古代の東国の様相が浮かび上がるような構成を目指している。そして古代東国で生じたことの何が関東地方各地に散在する大友皇子と耳面刀自妃、そして中臣鎌足の伝承の源流となったのか、その謎を解く手がかりとしたい。


 必要な補足やトピックは、随時「閑話休題」として差し挟む予定である。


 次回から上記の形式で第2章を始めていく。

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