『NTRガングロヤンキー能力』で異世界転移~”NTR男能力”をもらった僕は寝取りたくない

昭和からヲタってたおぢさん

前編 闇と向かい合うNTR能力者

~~昨今のNTRものの氾濫には目を覆うものがありますね(苦手ジャンルなので)あと、「アダルト系のNTRものってやたらガングロヤンキーが出てくるよなあ。」と、思いこんな話を考えてみました。~~



▼プロローグ「青春は、始まる前に終わった」


「……風、気持ちいいな」

午後四時、春の風が病院の屋上を吹き抜ける。

白い制服の少年――ユウマは車椅子に座りながら、そっと目を閉じていた。

入院生活は、気づけば十数年。小学校にも中学校にもまともに通えず、友達と呼べる人間もいなかった。

起きて、寝て、また薬を飲んで……。

それが俺の、全てだった。

けれど、奇跡は確かにあった。

「君の病状、寛解してる。退院して、外に出ていいんだよ」

医者がそう告げた日のことは、夢のように覚えている。

ずっと歩きたかった道を、自分の足で歩ける。

制服だって着られる。

コンビニに行ける。スマホを持てる。友達を作れる――

定時制高校に入学、タツヤにカイトという友達もできた。

……いよいよ、俺の「人生」が始まる。

そう思っていた。

「ユウマくん? ……ちょっと、こっち来てくれる?」

廊下で声をかけてきたのは、どこか影のある美人教師。

黒髪ロング、色白で目が大きく、まるでアニメキャラのような顔立ちだ。

入学式の日にしては、場違いなほど艶めかしい和装をしていた。

戸惑いながらも、ついていくユウマ。

職員室かと思った先にあったのは――

「……どこだよ、ここ……っ?」

目の前に広がっていたのは、真っ白な空間だった。

そして目の前にいたのは異様な存在だった。

形はぱっと開いた手の平そのもの。手の平の上の方に付いた二つの目は見るからにバカそうな目つき。手の平の下の方にわ大きな口がありそこからは赤い舌がベロリと出ていた。

「ミーは“ワールドデベロッパー”だべー」

「“デベロッパー”ってベロ出したパーのことじゃねえよ!」

「キミはこれから異世界転移してもらうベー。能力付与はランダムで、“NTR男能力”だべー」

それではオタッシャデー」


間もなくユウマと友人2名は太陽の二つある城塞都市の近くの平原に立ち尽くしていた。

「おれ、白い部屋(?)でなんかヘンなのに会って能力貰った……“NTR男能力”とかなんとか……みんなは……」

タツヤ

「うわあああ!ゆ、ユウマどの、よりにもよってNTRでござるか!?無理無理無理!拙者、そういうの脳が破壊されるから無理でござる!!」

(逃走)

カイト

「(泣きながら)ヒロインが……ヒロインが寝取られる話だけはやめてくれえええええ!!!」(逃走)

「ちょ、ちょっと待って!俺だけ何の説明も――っ!」

青春は、始まる前に終わった。

でも、ここからが本番だった。

ユウマ「……え? え? 何?」

ユウマ(NTR?ナチュラル・テリブル・ラフ……とか?……なんか、自然に恐怖を与えて荒々しいって……これ威圧系スキルってことか!?)

だがその瞬間——

ズズンッ……!

身体に異変が起きる。

皮膚は褐色に染まり、ギラついたタトゥーが浮かび上がる。髪は金色、ツーブロックに変化。目つきもキツくなり、どこからどう見ても“チャラ系肉食男”。

「えええっ?!」



▼異世界生活スタート:「人妻ばかりがなぜか好感度MAX」


 異世界のとある領都

 NTR男ことユウマは、冒険者としての生活を始めた。

 見た目はガングロ・タトゥー・金髪ツーブロックの姿は異世界でほ現代日本程には目立たず、またこのの体、そこそこ喧嘩が強く“冒険者”という荒事の世界との相性はわるくなかった。

しかしなぜか、相手が人妻や年上女性であるほど、やたらと好感度が上がる。

 宿屋の女将が笑顔で手を握ってくる。

 薬屋の女将が、目を見つめてくる。

 鍛冶屋の女親方が、酒を酌み交わそうとしてくる。

 「……俺、なんか……変にモテたりモテなかったり?」

 だが、肝心のユウマはまだ“能力の本質”に気づいていない。

 “既に誰かのもの”である女性ばかりが彼の惹かれるのはなぜか。

 なぜ、誰よりも彼女たちが、ユウマを“選ぶ”のか。

 この世界における「NTR能力」の真価が明らかになるのは──もう少し先の話である。


▼依存系ヒロイン


ユウマは引き続き “冒険者”としての生活をおくっていた。

倫理観のある彼は人妻や恋人持ちの女性には決して手を出さない――そのはずだった。

だがある夜、臨時パーティーの仲間に誘われて訪れた“雰囲気の良い娼館”で、彼は一人の娘と出会う。

「……初めて、ですか?」

薄暗い部屋。ランプの火が揺らめく中、ベッドの端に座った彼女は、儚げな笑みを浮かべていた。

金色の髪は艶を失い、青い瞳にもどこか影がある。

「……まあ、そんなところかな」

ユウマは視線を逸らしつつも、彼女の“演技じゃない”疲弊に気づいていた。

「セリーナっていうの、よろしくね。……」

その夜、ユウマは“そういうこと”を済ませた。

だがその後が、問題だった。

翌朝――

「ユウマさんっ……! 昨日の、あの……あの時から、わたし……わたし……っ」

セリーナは、ユウマとの一夜以来、何かが自分の中で壊れ、そして形を変えたのを感じていた。

あの夜――優しさと温もりに包まれたあの時間――彼女の心の鎖は解かれたのだ。

「私、まだ娼婦をやる。でも……それはユウマのため。あの人に、何かしてあげたいの」

実はかつて彼女が身を売って稼いだ金は、すべて元恋人が博打と女遊びで作ったに借金返済に消えていた。

だが、その元恋人がセリーナという金づるを失い、ついには奴隷落ちしたと聞いた日、セリーナはまるで他人事のように微笑んだ。

「……あの人のことは、もういいの。私には……ユウマがいるから」

娼館の仲間たちは戸惑い、店主はあきれたが、彼女の意志は揺るがなかった。



ユウマとセリーナは静かな郊外の小屋を借りて、慎ましくも穏やかな二人暮らしを始めていた。

しかしその日、ユウマの頭に不意に声が響く。

【継続的寝取り行為によりNTRスキルがアクティブスキルへと進化しました】

【対象の“絆”を侵食することで、NTR魅了が任意発動可能になりました】

【新スキル:錬薬誘惑の滴《夢の雫》を習得しました】

「『NTR』って『寝取り』のことだったのかよぉぉぉ!」

さらに、セリーナと“関係を持ち続けている”状態が、いわば“寝取っている”と判定されているらしく、スキルが成長したらしい。

(いやいや、別に寝取るつもりなんかじゃ……)

ユウマは慌てて否定するが、スキルは容赦なく現実を突きつける。

【現在の関係:恋人(元・他人の恋人)=寝取り中】

【精神的主導権:100%】

【完全寝取り達成率:92%】

(やめろそういう言い方!!)

しかも新たに得たスキル「誘惑の滴」は、飲ませると対象の性欲と依存心を高める微量の催淫薬。

「夢の雫」は、極めて穏やかな眠りに誘う液体で、対象の精神を深く安定させる効果がある。

________________________________________

▼セリーナの変化

セリーナはというと、ユウマとの暮らしで表情が柔らかくなり、かつての薄幸な雰囲気はすっかり消えていた。

「ねえユウマ……あたし、あなたに全部あげたいの。お金も、時間も、体も……心も」

ユウマは困惑しながらも、彼女の手を握る。彼女の目には、熱っぽい光と“依存”の影が宿っていた。



俺はセリーナを捨てた。

 薄暗い小屋で、泣きじゃくる彼女の顔を見ながら――心の中で何度も自分に言い聞かせた。

 「俺みたいな怪物が、あの娘を虜にしてはいけない」と。

 異世界に転移してからというもの、俺・ユウマには奇妙な能力があった。薄幸そうな娼婦――セリーナ。その時から、彼女は俺にすべてを捧げる女になった。

 彼女は言った。「恋人の借金のために身体を売っていた」と。だが、その恋人はとっくに奴隷落ちしていた。セリーナは一瞥もくれなかった。

 俺は娼館を説得し、彼女を自由にした。二人で静かに暮らし始めた。幸せだった。だが同時に気づいたのだ――俺が彼女を“寝取っている”という事実こそが、俺の能力をより強く発動させるのだと。

 寝取られの記憶を保ったまま、女が俺にすがる。その状態が続けば、俺はパッシブではなく、アクティブに“寝取り力”を発動できる。

 そして、NTRレベルが上がったことで、新たなスキルが開放された。

 「催淫剤生成」「睡眠薬調合」「対象男性の性的不能薬・長期型」――。

 ユウマはゾッとした。この“能力は”笑ってしまうほど、非人道的な能力だ。そして、そんな力を使ってセリーナを支配し続ける自分自身が、心底、気持ち悪かった。

 だから、逃げた。

 彼女に「幸せになれ」と言い残し、町を出た。

一か月後。

 こっそり戻ってきたユウマは、信じられない光景を見た。

 セリーナの頬はこけ、目の下には隈。痣と擦り傷で覆われた手足。彼女は冒険者一行に荷物を持たされ、蹴られ、笑われながら歩いていた。どうやら「性欲処理係兼、荷物持ち」として連れ歩かれているらしい。

 ユウマは吐き気に襲われる思いだった。

 「あの男がいなくなったら、私、生きていけないの」

 あの日、彼の胸で泣いた彼女の言葉が蘇る。バカだったのは自分の方だったのだ。彼女は“ダメ男依存体質”だった。ダメな男を求めてしまう性。

 ――その夜、ユウマは悪辣冒険者の一行を闇に沈めた。

 戦いなど一瞬だった。レベルも違う。奴らのリーダーには長期型インポ化薬を盛りった。そいつ廃人となってうずくまり、何もできずに震えていた。

 セリーナは俺にすがりついて泣いた。

 「ユウマ……ユウマ……会いたかった……っ!」

 ユウマは彼女を抱きしめた。

 「この娘……俺がいなきゃダメだ」

 ――再び、俺とセリーナの生活が始まる。


 

▼光のNTR男


 小さな町の片隅、ボロいが居心地のいい酒場──店の名は「ゆうゆう亭」だ。看板娘のセリーナと、ガングロ金髪マッチョ店主ユウマの二人で切り盛りしている。

 セリーナは今日もにこやかにビールジョッキを運び、ユウマはカウンターで酒を注ぎながら、荒れそうな客のグラスに「ちょっぴりお薬」をポトンと。

「このお店、客層良いよねー」

「うん、まあ“酔いつぶれてる間にすっきりして帰る”って噂が広まってるからな」

 二人の商売は順調そのもの。ユウマの錬金術(NTR系限定)は日々レベルアップしており、すでに“場の空気を読んで性欲鎮静する香り”や、“ラブホでしか効かない催淫スプレー”など、応用薬品の幅も広がっていた。

 ある日、酒場の扉がバァンと開く。

「お、お前は……タツヤ!?」

 そこにいたのは、かつての異世界転移仲間。ぽっちゃり気味だったタツヤは今や見る影もなやつれた姿。涙ながらに叫ぶ。

「金ならいくらでも出すでござる!貴殿のその……NTR能力で!拙者の嫁、“リリザたん“を奪ったった悪党を……制裁してくだされ!!」

 セリーナ「なんでユウマが頼られる側”なの……?」

 ユウマ「世も末だな」

 

 かくしてユウマは立つ。

 今日から彼の──

 **「光のNTR男(正義の寝取り男)」**として、寝取りの力で不義を正す、世にも珍妙な正義の味方としての活動が始まる?!のか?!

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