神様からの贈り物

由南りさ

第1話 夢に現れたのは

 ある夜、僕は夢を見た。

 

 普通に道端を歩いていると、

僕の目の前にモフモフの雲に乗り

片手に長い杖を持った

仙人のようなご老人がふぁ~っと降りて来た。


 そのご老人が、僕に話かけてきた。

 「これ、これ……おまえさん」


 僕は夢の中だし、まぁいいか……

と思いつつ軽く返事をした。

 「なんすか?」

 すると、仙人のようなご老人が

僕に言った。


 「なぁ、おまえさん、わしの姿を

見ても驚きとか感動とかないんかね?」

 「驚きと感動……ってこれ俺の夢の中だし、

別にね……」僕がそう答えるとご老人は、

 「あぁ~これだから最近の若いもんは……」

 とブツブツと言いながら長く伸びた

あごひげを触ると、

 「コホン……わしは全能の神じゃ」

 「全農?」

 「そう『全農』……

いや、それは全国農業協同……

ち・が・う……読み方は同じじゃが、

『全能』何でもできるほうじゃよ」

 「そうなんだ。で、全能の神様が僕に

何の用なの? これ僕の夢の中だよね?」

 「そうじゃが、それがどうした」

 「どうしたって……僕、道を急いでるんで」

 僕が全能の神様に告げ彼の前から

立ち去ろうとすると、

 「これ、そんなに急がなくても良かろう。

 今からわしが……」

  ピピピ……ピピッ……の音が聞こえると、

  全能の神様は僕の前から消え、

同時に僕はパチッと目が覚めた。

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