凡人

@Ckfigifjfkgig

第1話 井の中の蛙大海を知らず

 いつからだろう自分から1番になると言わなくなったのは

 この星に生きるほとんどの人が自分の限界を感じたことがあるだろう。齢6歳にして僕はそれを感じでしまった。

 小さな頃自分が誰よりもすごいと感じることが何度もあった。幼稚園に通っていればその中の誰よりも勉強ができて運動もできる。ボールを蹴ればゴールに入りおもいっきり走れば決まって自分が一番だった。

 小さい子はみんなヒーローに憧れるというのはあながち間違えではないと思う。かくいう自分もヒーローに憧れて空手を始めた。家の近くの道場に通ってみるとそこには自分と同じくらいの子から大人までたくさんの人がいた。空手というと相手と戦う組手を思い浮かべる人が多いと思うが僕は形を選んだ。同年代の子に殴り合いなら勝てるという自信に似た慢心のようなものがあったのかもしれない。

 幼稚園を卒園して小学生に上がると試合の回数が増えていったが苦ではなかった。そこでもやっぱり僕は最強だった。全国に出場できるかどうかを決めるため県大会があった。もう小さな頃の話なのでよく思い出せないがひとつだけ鮮明に覚えている。僕はその決勝で初めて負けた、誰かに初めて負けたのだ。『2位までが全国に行けるからいいじゃないか』『県で2位でも充分すごい事だ』という発言が不快でしかたなかった。

 そこから全力で練習して迎えた8月の全国大会では一回戦で負けた。県の決勝では3体2でギリギリ勝てなかったが5対0で圧倒的に負けた。

まさに僕は『井の中の蛙』だったのだ。

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