3並木道

新しい季節の訪れと共に季節は春へと向かっていた「みこと」の心にも少しずつ変化の光が差し込み始めた

「みこと」は彼との思い出の場所を巡る事をやめた代わりに新しいカフェを見つけたり興味のあった習い事を始めたりと自分を磨く為の時間を過ごすようになっていった

「「みこと」さん最近……楽しそうで表情が明るくなりましたね……」

カフェの店員に声をかけられ「みこと」は少し驚いた

そんな言葉をかけられるたび「みこと」は少し照れくさそうに笑った

そういえば、いつからか笑う事を忘れていたの、かもしれないと思う新しい出会いもあった

「この辺は……カフェが少なくて困りますよね〜……」

隣に座っていた男性が笑顔で話しかけてきた彼の笑顔は彼とは違う温かさを持っていた

今まで閉ざされていた心を開いて新しい出会いにも前向きになってみた

カフェで出会った男性と趣味の話で盛り上がったり新しい習い事を始めてみたりと「みこと」の日常は少しずつ色を取り戻していく彼の記憶は

まだ鮮明に残っている、しかし、それはもう「みこと」を縛りつける

ものではない彼の思い出は「みこと」の心を温め未来へと歩き出すための力となっていた

時が止まっていた日々は終わりを告げ「みこと」の時間は再び時を紡ぎ暁光の音色となり動き出した彼の

いない世界で「みこと」は彼との思い出を胸に強く生きていく

「今は色褪せた夢の続き追いかけて時が止まるまで」

「みこと」は彼の言葉を胸に新たな一歩を踏み出し穏やかな春の訪れを感じながら新しい季節へと向かうのだった